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“目の前で排便された汚物”を税関職員が何度も確認
トイレの外で「出たか?」と聞けばいいわけではない。逃走や隠匿の可能性を排すため、排出のまさにその瞬間をその目で確認しなければいけないのだ。
「大柄の外国人が、税関職員に見守られながら排便するわけです。しかも税関職員は、その排泄物の中から異物を取り出さなければならない。他人の排泄物に触れ、臭いと感触を確かめながら異物がないかつぶさに探します。目を背けなくなるような作業を繰り返すんです。なぜなら、その異物が容疑者から出たもの(持ち込んだもの)と確認しなければなりませんから」(同前)
また、排せつの過程などで、異物が破損し中身が体内に流出すれば容疑者の生命に関わるため、そうした対応も考慮しなければならない。
「早朝から深夜まで、4日にわたって16回の排便」
「チュクディ・ンワマジオブ容疑者の逮捕事例で言えば、4日にわたって16回の排便を通じて102個もの異物がでてきたと聞いています。容疑者の排便が早朝や深夜に行われるのであれば、それにも立ち会わなければならない。様々な税関業務がある中で、これほど過酷な業務はそうはありませんよ」(同前)
税関職員と言えば、財務省に所属する財務事務官(財務官僚)であり、様々な国家公務員の仕事がある中でも“花形”の一つだ。入省するのも難しい。そうしたエリート職員らによる口にするのも憚られるような努力の末、我々の日常は違法薬物から守られているのだ。
今後も外国人旅行者は増加していくことだろう。そこにある税関職員らの陰の活躍も忘れずにいたい。