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「ちびまる子ちゃんの“はまじの自伝”」を出版→大ヒット→権利会社が激怒…ベテラン編集者が明かした「若かりし頃のあやまち」

『怒られの作法』 #2

2023/05/07

genre : ライフ, 社会

note

知り合いのヤクザからめちゃくちゃ怒られた事件

 昔の私がそうであったように、謝罪しなければならないケースの多くは、自分の“無知”に原因があります。単純に礼儀や社会常識が欠けている場合もあれば、相手の事情や人間関係に無関心で意図せず傷つけてしまうこともある。

 逆に言うと、知識や配慮できるポイントが増えれば、謝らなければならないことも自然と減っていきます。それを誰よりもわかりやすく教えてくれるのは、あなたに怒りをぶつけてくるその人です。

 怒りは、ある意味偽りのないピュアな感情で、その人の本音や欲望がむき出しになる。私も色々怒られてきましたが、「こんなことで怒るのか」とびっくりしたり、「なるほどそういう事情があったのか」と納得したり、怒られる度に色々な発見がありました。そう考えると、謝罪の場面は、人間の心理や社会について理解を深められる絶好の機会でもあるわけです。

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 これもまだ20代で、裏社会の取材を始めたばかりの頃の話です。あるとき飲み会の場で出会った人と連絡先を交換しただけで、知り合いのヤクザからめちゃくちゃ怒られたことがありました。

 裏社会の取材は信用第一なので、知り合いを通じて取材相手を紹介してもらうことが多くあります。そのときも知り合いのヤクザの紹介で、とある会合に参加させてもらい、そこにいた人たちと連絡先を交換しました。

 飲み会の場で名刺交換するのは表社会でもよくあることで、「何がダメなの?」と思うかもしれません。でも裏社会では、これは「頭越え」と言って、絶対にやってはいけない行為です。もしも紹介者の与り知らぬところで結託して危ないビジネスを始めたり、犯罪行為をしたりして捕まったときに、自分と相手をつなげた紹介者もグループの一味と判断され、逮捕されるリスクが高まるためです。

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