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「確かに、私がアニマル編集部に入ったときのイメージは『セクシー&バイオレンス』で、そこがベースにあったとは思います。

 ただ、ほかにもいろいろなマンガの企画が提案できる素地もありました。編集者によって色の違いがあり、ごった煮感があったというか、『お前たち編集者が一番面白いと思うものを出してこい!』という雰囲気があったんです」

「花とゆめ」での編集経験も持つ、「ヤングアニマル」の永島隆行編集長は、最初に同誌編集部に配属された当時を振り返ります。そのうえで、「ヤングアニマル」の特徴を「メジャーのマンガ誌にはない、切り口やキャラクター。だから「ヤングアニマル」には、数年に一度、抜けるような作品が出てきます」と表現します。

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電子書籍の普及で女性読者が飛躍的に増えた「ふたりエッチ」

「笑いや泣きにはウソがない」と語る永島編集長が手掛けた作品の一つが、デスメタルバンドに変身して、その振れ幅に悩む青年の姿を描いて大人気となった「デトロイト・メタル・シティ」。ネームの段階で爆笑してしまったといいます。一方、荻島真之副編集長は、「ペリリュー」連載のきっかけを次のように振り返ります。

「デトロイト・メタル・シティ」

「戦後70年の節目に増刊を作ることになって、担当が作家さんを見つけ、読み切りから作り上げていきました。『世に問う』とかではなくて、永島の言葉通り『やったほうが面白い』というところからスタートしたものなんです」

「ペリリュー 楽園のゲルニカ」

 最近でも、編集部のメンバーは書店員さんから、若い夫婦のスウェーデンでの生活を描いた「北欧ふたりぐらし」や、若手芸人たちを題材にした「ニラメッコ」など、女性でも読める作品が増えていると指摘されたそうです。

「北欧ふたりぐらし」

 実際、電子書籍の普及で女性の客層が飛躍的に増えたのが「ふたりエッチ」でした。夫婦の性生活を描いた作品ですが、セックスレスなどの性生活の悩みも真面目に描いています。「編集者が面白い」ものを探すうちに、青年誌から女性にもヒットする作品が生まれたといえそうです。