かっこよくてすてきな3人の老年女性たちの共同生活を描いた『マダムたちのルームシェア』(KADOKAWA)。Twitterへの投稿から火が付き、昨年9月には単行本化されました。
性格も生き方も違う3人のマダムたちの日常が、なぜこれほど人々を惹きつけるのでしょうか。作者のseko kosekoさんに話を聞きました。
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──ファッション系イラストレーターとしてご活躍されていたseko kosekoさんですが、なぜマダムのイラストを描き始めたのですか?
seko kosekoさん(以下、seko) きっかけは、海外のおばあちゃんが花柄のワンピースを着て自撮りしている写真をネットで見たことなんです。その笑顔がとてもキュートで、私もこんなふうに歳を取りたいと、自分の理想のマダムを描き始めました。その写真に影響されて初めて描いたイラストが「自撮りをするマダムたち」です。
──sekoさんのイラストは、ファッションの色使いや流行の取り入れ方も魅力的です。1巻のEpisode11「美術館を楽しむマダムたち」では名画をイメージしたファッションで美術館に行ったりと、遊び心あふれる装いの楽しみ方が紹介されていました。3人のファッションはどのように描き分けておられるのですか?
seko 3人の個性が際立つように、それぞれ違う系統の服が好きだとわかるように描き分けています。細かいですが、3人の体型も描き分けているんですよ。
――なるほど。沙苗さんはモードでかっこいい装いが多いですし、晴子さんはパステルカラーの優しい雰囲気の服をよく着ています。三者三様に、自分の体型や雰囲気に似合うファッションを選んでいるということですね。
seko それから、せっかくオールカラーの漫画なので、視覚的にも楽しめるよう、あまり暗い色を使わない工夫もしています。
マダムというモチーフの魅力
──『マダムたちのルームシェア』には、「私もこんなふうになりたい!」「歳を取るのが怖くなくなった」などのポジティブな声がたくさん寄せられています。
seko 私が元気なマダムたちを描く理由のひとつに、歳を取ることに対するネガティブな考えが少しでも和らぐようにという思いがあります。時間は絶対に逆戻りしませんが、だったら歳を取ることに不安を抱くばかりではなく、楽しい気持ちで進んでいける人が増えればいいなと。
マダムというモチーフの魅力は、「未来の理想」を投影できることです。「遠い将来こうなりたい」という気持ちは、長く続くモチベーションになると思うので。