4月27日、新宿歌舞伎町のホストクラブに勤務する、源氏名「森のくまさん」こと江川誉容疑者(25)が逮捕された。容疑は売春防止法違反。ホストクラブの女性客であるA子さん(23)に、“立ちんぼ”行為をそそのかした疑いがかけられている。
これまで「文春オンライン」は、“歌舞伎町女子”が被害に遭った事件や、彼女らがさらされている危険な実態をたびたび報じてきた。その根にあるのは、ホストやコンカフェ店員などへの度を越えた貢ぎ行為だ。彼女らは時として強要され、あるいは自ら、“推し”に多額の金を貢ぐために違法売春などに手を染め、身を持ち崩している。
歌舞伎町に蔓延る女性を標的にした危険なビジネスとは――。過去の記事を再公開する(初出:2023年4月17日。肩書、年齢は当時のまま)。
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「海外出稼ぎでは高校を出たばかりの18歳の子にも会いました。出会った子たちが出稼ぎに来た理由はほぼ整形費用の捻出か、ホストに飛ばされたかの2択でした。
数年前は出稼ぎする日本人女性は多くなかったですが、最近はカンボジアからドバイ、ニューヨークと世界中どこにでもいて希少価値はだいぶ減りましたね」
こう語るのは海外出稼ぎをしたことのある日本人女性のAさんだ。出稼ぎといっても一般企業に勤めるわけではない。Aさんのいう「出稼ぎ」が指しているのは“出稼ぎ売春”だ。
「逮捕される可能性も」超ハイリスクな海外出稼ぎ売春
明治時代、生活苦に端を発して海外に身売りされる日本人女性たちが数多くいた悲劇の歴史も、今は昔。現代では手軽に渡航ができるようになり、TwitterなどSNSで簡単に「エージェント」と呼ばれる“案件”の紹介者に出会えるようになったとあってか、大金を求めて自ら海外に渡る女性たちが増えているようだ。
社会問題化しているホストに多額の金を貢ぐ“ホス狂い”や、過剰なルッキズムから“整形沼”から抜け出せない女性たち。彼女らはTwitterで「海外 出稼ぎ」などと簡単なキーワードを打つだけで、いとも簡単に高リスクの“海外出稼ぎ売春”にアクセスできてしまう。
《海外出稼ぎシンガポール 一週間200万円~ 日給30万+α》
SNSではこうした投稿のほかにも、どの国が一番安全に大金を稼げるかを比較するまとめサイトまでが当たり前のようにヒットするのだ。
もちろん、多くの国では売春は違法だ。現地の警察当局に逮捕される可能性もあるわけだが、そんなリスクを当の女性たちは認識できているのだろうか――。
親の反対を押し切り、カンボジアに出稼ぎへ
冒頭に登場したAさんは都内在住の20代半ばの女性。コロナ以前の2017年からカンボジアや香港、アメリカNYなど8カ国に出稼ぎに行った経験を持つが、振り返って「かなり危険だから止めたほうがいい」と語る。
Aさんは元々日本国内で風俗嬢として働いていた。しかしある日Twitterで案件の募集を目にし、出稼ぎに興味を持った。金にそれほど困っていたわけではなかったというが、日本では簡単に稼げない額を、海外ならすぐに稼げるようだと知り、抗いがたい魅力を感じた。
Aさんは人生で一度も海外旅行にすら行ったことはなかった。半年ほど逡巡したというが、「こんだけ気になっているんだから行くか!」と意を決してパスポートを取得。親の反対を押し切り、「2週間で150万円給与保証」の条件でカンボジアでの出稼ぎを決めた。