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気象予報士が断言! 今シーズンのベイスターズはセ・リーグの“台風の目”ではない

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/05/10
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 ベイスターズ予報士の檜山靖洋です。

「台風の目とは、台風の中心にあって雲がほとんどない部分」です。

 昔、横浜大洋ホエールズは、夏場になると上位チームいじめをして、「今のセ・リーグの台風の目ですね」とよく言われていたことを思い出します。優勝には遠藤い……いや縁遠いチームが、夏場に一時的でも銚子……調子のいい時期があり、ポンセポンセ……ポンポン勝ち続け、台風の目と言われ嬉しくなったものです。でも、今思えば、それくらいで嬉しくなっていたことが大門……いや大問題だったと思います。

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 気象予報士になり、台風の知識も得ました。

「セ・リーグの台風の目とは、セ・リーグの中心にあっても優勝の可能性はほとんどないチーム」だということも。

 台風の目は確かに中心にあります。大洋がセ・リーグの中心にいたことは確かでしょう。でも、台風の目は、風が弱く雲もほとんどなく比較的穏やかなところです。台風と聞いて想像するのは、暴風雨になっている光景ではないでしょうか。台風の目の周りには、“目の壁雲”と呼ばれ、目を取り巻く壁のように積乱雲が背高く発達します。この目の壁雲によって暴風雨がもたらされます。この目の壁雲の中で起こる暴風雨こそが台風の主役と言えます。

 当時の横浜大洋は、夏場に一時的にセ・リーグの中心にいて、大洋に足を引っ張られたチームは優勝争いから脱落すると言われ優勝のカギを握るものの、優勝争いは大洋の周りにいる2~3チームが、暴風雨のような激しい戦いを繰り広げていたということです。

 大洋自体は、セ界の中心で下位を叫ぶだけで、優勝争いの嵐の中にはいないのです。

 さらに、台風は本州付近に近づくころには勢力が衰え、目は不明瞭になり消えます。シーズン終盤、優勝争いが大詰めを迎えると、大洋は勝てなくなり台風の目としての役割が消えるのと、なんだか似ています。

©時事通信社

もう待てない優勝! 開けてきた優勝への道

 今シーズンの開幕前にも、ベイスターズは台風の目だ、と言っていた解説者の方もいました。でも、今年のベイスターズは、“気象学的に見て”台風の目ではありません。

 私が気象予報士として出演する「おはよう日本」の番組ホームページにある「動画」でも、語らせて頂きましたが、もう優勝を待てないんです!!

『熱烈ファンの檜山キャスター ベイスターズ“今年こそ優勝”』

 長く低迷した時代をくぐりぬけ、Aクラス常連のチームに変わりつつあり、昨シーズンは、首位ヤクルトに迫り、惜しくも2位。待望の生え抜き監督、三浦番長体制も3年目。主力選手も成熟してきて、ヤスアキ投手はメジャーに行かず横浜に残留してくれました。そして、バウアー投手の加入と、すべては優勝への道だと思わずにはいられません。この時を逃したら、やっぱり38年優勝できないのかな、と考えてしまうのは、優勝経験の少ないチームのファンである習性でしょうか。

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