1ページ目から読む
2/2ページ目

「矢野阪神」で培った育成法

 機動力も課題にある。昨季は球団ワーストの26盗塁。リーグ3連覇を果たした16~18年はリーグ1位(16年118、17年112、18年95)の盗塁数を記録するなど、積極的な走塁は大きな武器となっていた。機動力野球の復活へ藤井ヘッドコーチは失敗を恐れずチャレンジすることの重要性を選手たちに伝えている。

「選手たちに、なんで行ったんやとか言ったら、“ほんなら行かへんわ”となるから。(昨年までの阪神では)矢野さんもアウトになったことはいいと言っていた。ただその次にセーフになる可能性を上げていこうというスタンスだった。その成功例を(阪神で)見させてもらったから、頑張って言っていけば変わるのではないかと思っている」

 昨年までバッテリーコーチで在籍した阪神は矢野前監督のもと、19~22年までリーグ1位の盗塁数を誇った。その裏には失敗を責めない育成法があった。チャレンジしようとする選手の背中を押し、島田、植田、熊谷らが頭角を現すなど、成功例を間近で見てきた。だからこそ、“矢野イズム”をカープでも体現する。若手だけではなく、ベテランの秋山、菊池や外国人選手にも走塁の意識を植え付けるチームづくりを行い、22日の時点で17盗塁を記録するなど、変化が数字にも表れている。

ADVERTISEMENT

 こうしたスタイルを徹底したうえで、試合前練習では必ず新井監督と意見を交わし、作戦を練る。「監督には打者の目線があるから。でもこっちは守りの目線がある。そういうのを確認している。そう(意見交換)したほうがやりやすい」。新井監督を支える参謀役は選手が能力を最大限発揮出来るよう、新天地でも奮闘を続けている。

ちゃんこ長谷川(スポーツニッポン)

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2023」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/62657 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。