「『君が代』は聞きたくない」
そんな雰囲気が変わったのは、昨日16日に行われたショートプログラムから。この後、韓国の検索サイトでは羽生選手の名前はぐんぐん上位に上っていった。
50代後半の会社員もショートプログラムで初めて羽生選手の存在を知ったそうで、「旧正月で親戚が集っていた席でひとりが羽生選手のファンで、たまたまショートプログラムを見ました。羽生選手については名前が聞いたことがある程度でしたが、ここまでうまいとは……。金妍児選手を彷彿とさせる滑らかな演技で、驚きました。同じアジアの選手から金メダルが出て、素直にうれしいですよ」と話していた。
ネットでの書き込みを見ると、反応は複雑だ。
「実力もあってイケメン。フィギュア男子は関心なかったけど、羽生選手には惹かれた」、「昨シーズンから応援しています。本当に優雅」などと好意的な声が上がる一方、「羽生選手、怪我しないように。でも、『君が代』は聞きたくないから、(3位になったスペインの)フェルナンデスに勝ってほしかった」、「転ばなかったけど本当に圧倒的か?」などという声が聞かれた。
ただ、反発する声に対しては「日本への被害意識や劣等感から抜けだそう」、「レベルが違う選手のよう。認めるべきものは認めて、私たちの(チャ)ジュンファンも4年後にはこう育てよう」と諌めるような書き込みもあった。今回韓国から唯一出場したチャ・ジュンファン選手は、羽生選手と同じブライアン・オーサーコーチの指導を受けていて、総合得点「248.95」の15位に終わっている。「金妍児から羽生まで オーサーコーチ3連続オリンピック金合作」(聯合ニュース)、「羽生、チャ・ジュンファン、金妍児は共にブライアンの作品」(スポーツ韓国)といった報道も。
功績やその幸せを認めながらも……
また、宇野昌磨選手が銀メダルに輝いたことには、「正直羨ましい。私たちも早く金妍児選手の後に続く選手が出るといいのに」や「宇野よりネイサン・チャンがメダルを逃したのが惜しい」という書き込みも見られた。
全国紙の記者に訊くと、「日本が金妍児選手を見ていた視線と似ているんじゃない? 『腹が痛い』というか、すごい、おめでとうと思いつつ、嫉妬も混じるというか」と苦笑まじり。
韓国語で「腹が痛い」というのは、功績やその幸せを認めながらも素直に喜べない、ややこしい感情のこと。
それだけ、偉業を成し遂げたということ。
羽生選手、2連覇おめでとう!