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劇団を通して続けた「芝居の鍛錬」
私は勝田声優学院を出てから有志と劇団を創立して、芝居の鍛錬を続けました。声優の仕事をしながら、劇団で10年間活動しました。お客さんの前にさらされることは、とても恐ろしかったけど、チケット代を頂戴するということの重さを知りました。
そして劇団仲間は、養成所よりもグッと踏み込み合えるという意味で、とても力強い存在。たとえば仲間の芝居を見ることで、自分に今、何が足りていないのかを客観視することができます。逆に、自分の芝居がどう見えているのか、外からの視点で教えてもらえたりする。それに、同期ってウソをつくことなくお芝居の良し悪しも好き嫌いもはっきり言うし、本当にありがたい存在です。
初めて連続ドラマ『リコカツ』に出演した時、偶然アフレコスタジオで一緒になった元劇団仲間の根谷ちゃんに感想を聞きました。彼女はウソをつかないし、おべっかも言わないんです。舞台の芝居とも違うし、声優がドラマなどで芝居をするとtoo muchな演技になりがちなので不安がありましたが、「大丈夫。面白かった」と言ってくれて。
彼女がそう言ってくれるのなら、大丈夫なんだと胸をなで下ろしました。
価値観が近く、客観的に自分を見てくれている人。本当のことを言ってくれる人。そうした仲間を見つけることは、声優に限らずどのような環境においても大事だと思いますね。