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「悪口を書いたノートをわざと忘れて帰った」同期のキングコングに嫉妬して…ドラマより“ヒドかった”山里亮太の人間性と訪れた“転機”

「悪口を書いたノートをわざと忘れて帰った」同期のキングコングに嫉妬して…ドラマより“ヒドかった”山里亮太の人間性と訪れた“転機”

ドラマ『だが、情熱はある』

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「笑いの才能がなかったら死んだ方がマシ。笑いの才能だけが飛び抜けている」(※1)

 ケンドーコバヤシからそう人間性を酷評されつつ、芸人として最大級の“称賛”を浴びるのが南海キャンディーズの山里亮太だ。

 ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ)でも、山里を演じるSixTONESの森本慎太郎が、若手時代の相方に対して“暴君”のように振る舞っている様が描かれる。山里本人が、演じる森本の好感度低下を心配し、「森本慎太郎くんごめんよ」と何度となくツイートするほど繰り返されるヒドい言動。一体なぜ、かつての山里はそんな行動に出てしまったのだろうか。

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山里亮太 ©文藝春秋

山里亮太が作り上げた「張りぼての自信」

「山ちゃん、時々おもしろいこと言うからお笑いやってみたら」

 ドラマでも描かれていたように、山里は親友にそう言われてお笑い芸人を志した。普通、人は「時々」おもしろいと言われたからってプロになろうとは思わない。しかし、山里は、その「時々」をよりどころにすることで、その才能を自分に信じ込ませた。

「そんないくつかの『時々』を集めてできた『偽りの天才』の製作作業、こいつはすごい。なにがすごいってたいして自信がないものでも、周りからポロッと出た誉め言葉などで小さな自信を張っていってもらったり、些細なことをそこに結びつけたりすることによって、結構立派な張りぼてってつくってくれるものなんです。僕はそれを『張りぼての自信』と考えた」(※2)

 デビュー当時、彼はひたすらネタを書き続けた。しかし、何が面白いのか、どうやって書いたらいいのか、山里には分からなかった。だから、他の芸人のネタを必死に書き起こすことから始めた。

「『必死』『一生懸命』この単語が似合わない世界、『本当の天才』が創るべき(お笑いの)世界で、自分がすごくおもしろくないやつだと思われているのもわかっていた。でも、必死に一生懸命に、張りぼてを立派にしていくことしかできなかった」(※2)

 自分が「天才」だと周りに思われたい山里は「奇抜なこと」をしようとした。しかし、本当の天才は「したことが奇抜」ととらえられる。それは大きな違いだ。だから山里は「しようとしてる」ことを見せないようにするためにはどうしたらいいかを必死に考えた。

 周りに「天才」だと思わせることができれば、自分自身が自らを「天才」だと思い込める。その思いこみは、挫折をした時の自分を守る盾になるはずだった。

同期のキングコングが与えた劣等感

 彼が入学したNSC大阪22期には、ダイアン、なかやまきんに君、ウーマンラッシュアワー村本大輔、とろサーモン久保田かずのぶ、中山功太、スーパーマラドーナ、ネゴシックス、ミサイルマン、ギャロップ林健……と、錚々たるメンバーが揃っていた。

 その中でも際立ったスター性とお笑いセンスですぐに頭角を現したのがキングコングだ。『だが、情熱はある』でパンプキンポテトフライが演じる「ヘッドリミット」は彼らがモデルだろう。彼らは、山里に劣等感や挫折感を与えるのに十分な存在だった。