昨年2月、ギャラ飲みによって3年間で約4000万円の所得があったものの無申告だった女性が、加算税を含む約1100万円の追徴課税を受けた。

 とはいえ、所得を申告しない人はギャラ飲み女子だけにかぎらない。風俗や水商売関係者、パパ活女子など、確定申告もせずお金の動きを不透明にしているがゆえに、いつ税務署がくるかと怯える人たちは少なくなさそうだ。

 実際のところ、申告義務を怠った人にはどんな顛末が待っているのか。今回は、2010年代半ばまである風俗店の代表を務めていた男性のエピソードを紹介したい。

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「暇だったら手伝って」の声で風俗店のバイトに

 2002年春、吉田剛さん(仮名・46歳)は大手風俗雑誌の札幌支部で編集部員として働いていたが、その翌年には会社の規模縮小の影響で東京本社へと異動。手取り30万円ほどで会社の寮に住みつつ、数々の風俗店の紹介記事を作成し、業界での人脈を築いていたという。

 だが、当時は2004年頃からはじまった故・石原慎太郎都知事(当時)による「歌舞伎町浄化作戦」やリーマンショックの影響があり、風俗雑誌を発行する吉田さんの会社も打撃を受けることに。2008年春には給料が支払われない状態になり、同年夏には未払い分の給与は補填されないまま「会社都合」で退職する運びとなった。

 途方に暮れつつも、ひとまずは治験バイトで食いつないでいた吉田さんだったが、ある日、風俗雑誌時代に付き合いのあった風俗店オーナーからこんな電話が入ったという。

「吉田くん、会社やめたんだって? もし暇だったらちょっと僕の仕事を手伝わない?」

 軽い口ぶりで紹介された仕事は、オーナーが新規に立ち上げるという、五反田を拠点にした「派遣型回春メンズエステ」の電話番のバイトだった。週6の1日12時間勤務で、月の収入は25万円。時給換算すると約833円と決して好待遇とはいえないが、貯金も定職もなかった吉田さんにとってありがたい話だった。すぐに「やります」と返事をし、2008年11月から勤務を開始したという。

「五反田駅近くの1Rマンションに女のコを待機させ、僕が客からの予約電話をとって指定された付近のホテルに手配する仕事でした。部屋は家賃8万円ほどの狭苦しいところで、そこに1日平均5人、多くて10人くらいのコが出勤していました」

 オープン当初は、客単価2万円で10人の客が集まり、1日の売上げは20万円ほど。そのうち半分は女性キャストへのバックとなり、残りから家賃や広告費、ローションなどの資材代を除くと、店側は赤字の状態が続いたという。

 だが、この赤字分はオーナーが600万円出して補填。その後、店が軌道に乗ったことで、3年目には年2400万円、5年目には年3600万円もの利益を上げられるようになった。