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税務署が150万円使って内偵していた

 だが、「過少申告でも無申告よりはマシ」という考えは、奇しくも墓穴を掘る結果となってしまう。2016年の夏、派遣型メンズエステの五反田拠点に税務署職員が数人でやってきたという。そのとき吉田さんは非番だったため、在勤スタッフに電話で取り次いでもらい、後日改めて話し合いの場を設けたそうだ。

「すでにメンズエステの営業権を放棄していた法人Yの登記上の住所が港区だったため、来たのは港区を管轄する芝税務署の人でした。とはいえ、やっている事業は営業中だった法人Xと同じなので、この2つの法人の実態は同一だと突き止めたうえでのことでした。

 法人Xの登記は五反田だったので、『品川税務署を選んでもいい』とも言われたんですが、管轄の品川税務署に手柄を取られないようにするためか、『もし新たに品川税務署の調査が入れば、僕ら(芝税務署)以上に厳しく調査するかもしれませんよ』と強めの圧で来られましたね」

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 税務署側の最初の言い分は、「吉田氏が代表を務める派遣型回春メンズエステでは、少なく見積もっても過去5年間で2億円以上の売上げがあり、これは申告額と大きく異なる」という旨だった。

「たしかに実際は5年で1億2000万円の利益が上がっていて、税務署側の概算もおよそ合っていました。なぜバレたのか不思議だったんですが、どうやら店のHPをみてわりと高い広告費をかけていそうなのに、あまりに申告額が低いところから目をつけられたようです。

 しかも、それに気がついた税務署員が、2016年春ごろから数カ月間、内偵という名目で店を利用していたみたいなんです。実際に女のコたちと話しながら、1日の売上げや客入り情報を探っていたんでしょう。ただ、そのために経費150万円くらいを使ってウチの女のコと遊んでいたとのことなので、公務員が税金でそんなことしていいのかよ、と今でもモヤついてます」

 その後、複数回にわたる話し合いの結果、税務署は吉田さんに計3000万円もの追徴課税を迫ってきたという。

「僕は税務署の話をガン無視して逃げていたわけではないし、初犯だからと少し負けてくれて、課税対象額は1億円から8000万円に。法人税は本来約25%かかるので2000万円、そこに追徴分で1000万円が加わって、計3000万円の支払い義務があると伝えられ、このほかに都税からも1000万円を要求されました」

 ただし、吉田さんはオーナーへの売上げの上納を、税務署が来るまでは口座振込で行っていたという。そんな履歴が残っていたら、そこから利益を牛耳っていたのは吉田さんではないことくらいひと目でわかるはずだが、そこまでは追及されなかったのだろうか。

「おそらく税務署が金の行方を調べるくらいは簡単にできたとは思うのですが、あくまでこの2つの法人の表向きの代表は僕なので、僕を悪者にして話が解決するなら、面倒事は避けたかったのではないかと。僕自身、オーナーには拾ってもらった恩もあるので、あまり迷惑はかけたくなかったです。