年率約20%のリターンをうたい、1200億円を集めた「スカイ・プレミアム・インターナショナル」(以降、スカイ社)の投資詐欺疑惑。(全2回の2回目/前編を読む)
2013年ごろから夫婦で3000万円を出資し、現在そのお金が1円も引き出せなくなっているA氏は、スカイ社の投資の仕組みをこう説明する。
「スカイ社の販売する投資商品を購入するためには、まず毎月約5000円のスカイ・プレミアムの会員費を支払う必要がありました。そしてGQFXという証券会社で口座を作らされ、サイトのIDが与えられます。パスワードを入力すると見られる投資の運用画面では、出資金額が15%弱も増えていると表示をされていて、将来が楽しみでした」
スカイプレミアムに入会する際にA氏は、投資を仲介する“エージェント”であり、元大手航空会社の有名CAでもあったY子から、「警察学校でマナー講師をしている」とアピールされたという。
「Y子はCAを辞めたあとマナー講師をしていて、警察学校でも講義をしていました。それも、信頼感を演出して出資者に疑われないようにするための手口だったのかもしれません」
「約1200億円のうち約500億円は投資家に返金したが、預かった資産の残高は不明」
教えられたサイトでは着々と表示金額が増えていたが、事態が一変したのは2021年9月のことだった。証券取引等監視委員会が東京地裁にスカイ社の業務差し止めを申し立て、同年12月にはスカイ社に対して業務禁止および停止命令が下されたのだ。
スカイ社はおよそ2万2000人から約1200億円を集め、チェコスロバキア貿易銀行の口座に送金したうえで、FX取引で運用するなどと説明していた。しかし証券取引等監視委員会によれば、実際は銀行に口座は存在せず、集まった投資資金は複数の海外法人名義の口座に送金されていたほか、FX取引を行ったということ自体が確認できなかったという。
監視委員会の聞き取りに対し、スカイ社は「約1200億円のうち約500億円は投資家に返金したが、預かった資産の残高は不明だ」などと説明しているという。
スカイ社が業務差し止めの申し立てを受けたとき、A氏は初めて「だまされたかもしれない」という思いが頭をよぎったという。そしてすぐさま必要な書類を準備して出金の手続きを取った。
しかしまもなく運用サイトにログインできなくなり、出金の手続きも一向に進まなかった。出金の手続きを開始して1年半以上が経過したが、2023年5月時点ではいまだ1円も手元に戻っていないという。