「私が2000万円、妻が1000万円を投資しましたが、1円も返ってきていません。私たちに投資を勧めてきたのは超大手航空会社の有名キャビンアテンダントだったX子とY子です。2人は会社に在籍していた時は総理の乗るフライトにも乗務するようなエリートCAで、彼女たちが勧めてくる商品が怪しいだなんて思いもしませんでした」
そう語るのは、大手航空会社に勤める40代男性のA氏。A氏夫婦は会社の先輩でもあるX子に勧められて、シンガポールに拠点を置く「スカイ・プレミアム・インターナショナル」(以降、スカイ社)のFX投資をうたう案件に計約3000万円を2013年ごろから5年ほどにわたって出資したが、現在まで1円も引き出すことができずにいる。(全2回の1回目/続きを読む)
大手航空会社のCAが、スカイ社の“エージェント”に
スカイ社は1年で15~20%というすさまじい投資効率を売り文句に、2万2000人以上の人から約1200億円もの金を集めていた。しかし実際は金融商品取引業の登録をしておらず、顧客から集めた資金を実際に運用していた形跡もないという。そして、出資者たちが投資したお金の大半は返還されなくなっており、2021年12月には業務停止命令を受けている。
「(スカイ社が)集めた(1200億円という)額は、監視委員会から差し止めを申し立てられた無登録業者の中で過去最大」(2021年9月17日NHK)という大事件だが、その巨額の資金を集めるうえで大きな役割を果たしたのが、“エージェント”と呼ばれる約500人の勧誘員だ。
エージェントたちは言葉巧みに顧客をFX投資に勧誘するのが仕事で、勧誘に成功すると投資額の5%前後の報酬がスカイ社から支払われるという「マルチ商法紛いの手口」で資金を集めていた。
大手航空会社の元CAだったX子とY子は、そのエージェントだったのだ。2人は古巣の大手航空会社の従業員に次々と接触して資金を引き出し、巨額の報酬を得ていたという。