車は鉄の塊か、それともロマンの塊か。世間の理解など求めない、個性全開の車を愛してしまったオーナーたちの素顔やいかに⁉

 今回は、静岡県で自動車修理工場「KS factory(ケイエスファクトリー)」の代表を務める小澤さんをご紹介。

カーショップの代表を務める小澤さんと小学生の息子さん

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車屋の父、しかし子どもの関心は……

 若い頃からこの手の車に乗ってきて、仕事としてもずっと車の修理工場に勤めてきました。好きなんですよね、車の構造を見て、自分でそれに手を加えていくのが。最初は趣味の延長でしたが、そのまま20年ほど工場で働いて、5年前くらいに自分の店を開いたんです。

 旧車の修理やカスタマイズを主に扱っているので、部品取り用の車をちょくちょく仕入れて、そこから自分の車を作ることもあります。このセドリックも元は2台の車で、部品を組み合わせながら作っているんですよ。

2台分のパーツを使って製作したというY30型セドリック

 もちろんメインの業務は修理ですから、こういった車作りは半分趣味のようなものです。まず自分が乗りたい仕様に仕上げて、実際にプライベートでも乗って。そのうち、関係の近いお客さんから「買いたい」と声がかかれば売りに出して、また別の車を作っていくんです。ちなみにこのセドリックは、前に作った同じ型の車が2ヶ月ほどで売れてしまったので、また急いで作ったものなんですよね。

さまざまなボディタイプをラインナップしていたセドリック。これはクラシックなセダンタイプだ

 なにぶん古い車ですから、作った車を店頭で売りに出すことはありません。私がフォローできない相手に売ってしまうと、何かあったときに部品も手に入りにくいですし、直せる店も少ないですし。旧車は本当に、つながりがないと維持が難しいですからね。

 とくに今は旧車の価値がものすごく高騰していますから、普通に売りに出すとどこからでも買い手がついてしまって。ハチロクなんかだと、不動車でも100万円くらいで外国人のブローカーが買っていったりとか。そういう具合なので、ある程度関係の近い相手にしか売れないんですよ。

旧車らしく社外のウッド調ステアリングを採用

 それでもやっぱり、作った車はだいたい数ヶ月で売れていきますね。家の車がコロコロ替わるわけですけど、家族はあまり気にしていないみたいです。小6の娘と小1の息子がいますが、車にはあんまり興味がなくて……今回は前と同じセドリックなので、そもそも車を替えたことにも気づいていないくらいで、ちょっと寂しい気持ちもありますね。

息子さんにもいずれは車に興味を抱いてほしいという小澤さん

 車のイベントの雰囲気は好きみたいなので、いつもそういう集まりには連れていくんですけどね。まぁ親としては、とにかく元気に育ってくれれば……本音を言えば、車に少しでも興味を持ってくれたら嬉しいですね。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。