八木 それはないですね。うちにいる以上は、前向きに進む方向に持って行くために動きます。やる気が無いのなら、興味のありそうなものを提案するとか。例えば「YouTubeをやってみよう」とか「TikTokに上げる動画を撮ってみよう」とか、そういう提案をする中で本人の気持ちを上げています。そのためには密にコミュニケーションをとることが必要なので、それぞれの芸人が何に興味を持っているのかは常にリサーチするようにしています。ただ、辞めるのも自由だと思うので、辞めたいという子がいたら、その思いはもちろん尊重しますよ。
——八木さんはマネージャー業と並行して、作家や映像の仕事もやっていますよね。2020年には初監督作品『実りゆく』が劇場公開もされました。マネージャーが映画を作るなんて、なかなかできることではないと思います。マネジメント以外の業務をするきっかけはあったんでしょうか?
八木 毎年社長との面談があって、そのとき「映像をやらせてください」って言い続けていたんです。ただ、しばらくは「やらせてください」という思いを聞いてもらっていただけでなんにもなりませんでしたけどね(笑)。
——でも、結果的に太田社長が力になってくれたそうですね。『実りゆく』では、社長がプロデューサーをやってくれたとか。八木さんから「芸人に仕事を与えるのがマネージャーの仕事」というお話がありましたけど、太田社長自身も最終的には八木さんに「映画監督」の仕事を与えてくれたわけですよね。先ほど仰っていたように、“最強のマネージャー”という感じがします。
八木 そうですね。タイタンじゃなければ、そして太田光代社長じゃなければ、僕は今こういう働き方はできていないと思います。感謝しかないですね。
規模が小さい事務所だからこその“強み”
——タイタンは大手に比べると小規模な芸能事務所ですが、この規模感についてはどう感じていますか?
八木 「決定権を持っている人との距離がめちゃくちゃ近い」のが良いところですね。社長とも爆笑さんとも日常的に会うので、トップがどんな判断をしているのか、身をもって分かるんです。うちは直接話せるので会社の指針をはじめ、判断の理由がよく分かる。仕事がしやすいですね。
——もともとは映像制作の道を志していた八木さんですが、本格的に映像の仕事をするために転職しようと考えることは無いんでしょうか?
八木 「映像の仕事に変えたら?」とよく言われるんですけど、僕は全然その気が無いんですよ。社長のおかげで映画監督の仕事もやらせてもらえたし、この恩はもう、一生かけて返さなきゃいけないものだと思っています。だから、社長から「あなた、外に出て映像制作に専念したら?」と言われるまではタイタンにいますよ。そもそも、僕はお笑いが大好きですし、芸人さんの近くにいられるってものすごく幸せな職場だと思うんです。さらに自分が元々志していた“映像”を用いながら芸人たちを後押しできるなら、自分の役割として間違っていないと信じてやり続けられますね。
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