「誠実に向き合ってまいります」というジュリー社長に対し、言いたいこと
――一方、既に事務所を離れている被害者に対しては、外部窓口を月内に設置し「外部の専門家の協力を得る予定」だとしています。連絡するつもりはありますか。
二本樹 今は何とも言えません。信用していいのかな、とか、こちらも弁護士を立てた方がいいのかな、といったためらいがあるからです。だから第三者委員会が設置された方がいいという気持ちが強いのかもしれません。また、現時点では被害者の方から来てくださいというスタンスですよね。私の元には既にメディアの取材依頼が来ていて、アプローチしようと思えばできる状態ですが、事務所からはまだ接触がありません。連絡していただけるなら応じたいとは思っています。
――二本樹さんは告発記事の後編で、性被害のトラウマの深刻さについて語っています。特に依存の問題について、ジャニーズのタレントの同様の問題が報じられるたびに「少なからずジャニーさんの影響があるのかなと思う部分があります」と述べておられました。被害者の精神的苦痛に「誠実に向き合ってまいります」というジュリー社長に対し、言いたいことはありますか。
二本樹 性被害のトラウマのケアは、専門家でないと不可能だと思います。私が聞いた話では、子ども時代の性被害の影響は、戦争で兵士が抱えるPTSDと同等だそうです。そういう被害者が立ち直っていくには、専門的かつ長期的なケアが必要になるわけです。現に私自身も、退所してからの人生がトラウマによって相当左右されてきたと感じています。
これから被害者がさらに出てくることが考えられますけど、事務所には一時的な対応で終わってほしくないと思っています。事務所がどんな対応を取っていくか、私も注視していきたいです。
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秋山千佳氏の連載「ルポ男児の性被害」は「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
■連載 秋山千佳「ルポ男児の性被害」
第1回・前編 「成長はどうなっているかな」小学校担任教師による継続的わいせつ行為《被害男性が実名告発》
第1回・後編 《わいせつ被害者が実名・顔出し告発》小学校教師は否認も、クラスメートが重要証言「明らかな嘘です」
第2回・前編 中学担任教師からの性暴力 被害者実名・顔出し告発《職員室で涙の訴えも全員無視》
第2回・後編 《実名告発第2弾》中学担任教師から性暴力、34年後の勝訴とその後「ジャニー氏報道に自分を重ねる」
第3回・前編 《実名告発》ジャニー喜多川氏から受けた継続的な性暴力「同世代のJr.は“通過儀礼”と…」
第3回・後編 《抑うつ、性依存、自殺願望も》ジャニー喜多川氏による性暴力 トラウマの現実を元Jr.が実名告発
第4回・前編 「なぜ今さら言い出すのか」性被害を訴えた元ジャニーズJr.二本樹顕理さん 誹謗中傷に答える
第4回・後編 「ジャニーさんが合鍵を?」元Jr.二本樹顕理さんを襲った卑劣な“フェイクニュース”
第5回・前編 「性暴力がなければ障害者にならなかった」41歳男性が告発 小学3年の夏休みに近所の公衆トイレで…
第5回・後編 《母は髪がどんどん抜け、妹からは「キモい」と…》性被害後の家族の“拒否反応”の真実 41歳男性が告白
第6回・前編 目の前で弟に性虐待を行う父親 「ほら見ろよ」横で母親は笑っていた《姉が覚悟の実名告発》
第6回・後編 「絶対に外で言うなよ」父親の日常的暴力と性虐待の末に29歳で弟は自殺した《姉が実名告発》
第7回・前編 NHK朝ドラ主演女優・藤田三保子氏が“性虐待の元凶”を実名告発「よく死ななかったと思うほどの地獄」
第7回・後編 「昔、兄にいたずらされたことが」塚原たえさんの叔母、藤田三保子氏が“虐待の連鎖”を実名告発
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