「信じろと言われても無理な話」
――ジュリー氏の見解文には、社長就任以降「保護者宅からの活動参加」等を推進したとあります。ということは、ジャニー氏がJr.たちを宿泊させる「合宿所」で何があったのかを理解していて改革したのではないかとも思えますが。
二本樹 そうですね。私はジャニーさん時代の役員も皆知っていたと思っています。
――2003年に性加害の真実性が認められた東京高裁判決が出た時も「ジャニー本人は自らの加害を強く否定していた」ということですが。
二本樹 ジャニーさんが決して認めないだろうということは推測できましたけど、むしろメリーさんの「誤解されるようなことはしないように」という言葉にびっくりしました。誤解で済むのかと。事務所としてその時点でもっと追及するべきだったと思います。また、メディアが報じなかったことも問われるべきだと私は思っています。事務所もメディアも当時の告発を黙殺したことで、その後も被害者が出続けたわけですから。
――事務所は今後の調査について、第三者委員会の設置を否定しています。
二本樹 これまでの経緯を考えると、第三者委員会を設置せずにどうにかできる問題ではないと思います。この発表の前に行われた事務所内での性加害調査で、現役の所属タレントたちを相談担当に据えたことからして疑問があります。被害者である可能性も含んでいる人たちに相談担当をさせるというのは大きな矛盾ではないでしょうか。そういうことを昨日までしていた組織が第三者委員会を設置せずに調査を行うというのは、信じろと言われても無理な話です。
――二本樹さんは告発記事の中で、「デビューした人たちも、この問題を墓場まで持っていこうと思わないでほしい」と訴えておられます。
二本樹 彼らのブランドイメージを考えるととても難しい問題ですが、被害に遭った人には一緒に証言してほしいという思いはあります。今の仕事や立場があるから言わないというのでは、数多くの事実が闇に埋もれてしまうからです。それこそ第三者委員会を設置して匿名で証言できるようにできれば、それでもいいと思います。
個人的には、退所者だけが声を上げている現状はフェアじゃないという気持ちもあります。一般人である私も、証言することに個人的なメリットはなくて、むしろ犠牲を払っています。ただ、被害者が泣き寝入りしないといけないような社会であってほしくないんです。勇気を持って告発することでしか変えていけない未来があると思いますし、他の被害者にも臆せず声を上げてほしいです。それと同時に、声を上げる人たちを淘汰しない社会になっていってくれたらいいなと願っています。