大手旅行会社「日本旅行」(東京都中央区)は、全国旅行支援事業を巡り、愛知県側に人件費を約530万円水増し請求していたことが、「週刊文春」の取材でわかった。日本旅行側が事実関係を認めた。愛知県以外での水増し請求についても今後調査する方向だという。
日本旅行の連結売上高は約1819億円(昨年12月期)。コロナ禍での経営悪化を脱し、大幅な増収増益となった。追い風となったのは、政府による全国旅行支援事業だ。多額の税金が投入され、観光業界の需要回復を後押しした。
愛知県では「いいじゃん、あいち旅キャンペーン事務局」が設けられ、事務局には日本旅行をはじめ、大手旅行会社の社員らが出向していた。
日本旅行関係者が証言「県側に人件費を水増し請求する意図があった」
日本旅行関係者のA氏が証言する。
「事務局への出向社員の人件費は愛知県に請求することになっています。ところが、ある社員は実際には事務局で働いていないにもかかわらず、出退勤管理システム上に『Go To事務局へ直行直帰』と記すよう、上司から命じられていた。県側に人件費を水増し請求する意図があったと見られます」
日本旅行関係者のB氏も続ける。
「実際、愛知側に提出する『日別出勤簿』に、事務局の職務に従事していない日本旅行の社員の名前が記入されていたこともありました」
派遣社員のC氏はこう明かす。