ヤクザ社会でしか役に立たない「歯ブラシ」の意外な活用法とは?

 元山口組系組長の竹垣悟(たけがき・さとる)氏の新刊『懲役ぶっちゃけ話 私が見た「塀の中」の極道たち』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

一般社会では絶対に役に立たない「歯ブラシの意外な使い方」とは? ©getty

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刑務所のヤクザはなぜ「チン玉」を埋め込むのか?

 刑務所で入れる「チン玉」は歯ブラシの柄だ。本来は真珠を埋め込むが、刑務所に持って入るわけにはいかない。簡単に手に入り、陰茎に埋めても害がない素材となれば、プラスチックの歯ブラシの柄というわけだ。柄の先端を5ミリほど切り取り、コンクリートの壁などに当ててせっせとこすり、磨き上げ、真珠のような球体にする。根気がいるが、時間だけはたっぷりある。

 では、なぜ入れるのか。女が悦ぶからだといわれる。亀頭のエラが張ったイチモツを逸品とする俗説から出てきたものだろうが、そんなのはまるっきりウソ。女は痛がるだけだ。実際に私は竹中組の事務所で真珠を入れたことがあるので経験上、知っている。知り合いの女連中に聞いてみても、みんなが痛いと口をそろえる。女が悦ぶというのは男の勝手な妄想であって、しょせんはエロ小説のネタにすぎないのだが、刑務所は役務が終わればヒマですることがない。女とも長いあいだご無沙汰である。妄想が妄想を呼び、単純な男は、「ほな、入れてみるか」ということになる。

 だが、先にいっておくと、刑務所では「チン玉」は禁止だ。「自傷行為」とされ、発覚すると規律違反行為になって懲罰である。だから事前に「チン玉」の有無について検査される。

 にわかには信じられないかもしれないが、実際に「チン検」があるのだ。まず入所時に「チン玉」を入れていないか最初の検査がある。

「玉、入れてないか?」「入れていません」と答えると、刑務官が目視で確認し、申告どおりならその旨、調査票に書き入れる。

「入れています」と答えると、

「何個?」

「3つです」

 これも確認し、調査票に記入する。