精神状態は悪化の一途をたどり、琵琶湖で自殺未遂をしてしまうほどうつ病が重くなってしまいました。後に、統合失調症まで発症し入退院を繰り返しながら約2年苦しんで、最後は自ら死を選びました」
様々なセミナーに参加して心理学を学ぶ
――ショックが大きかったでしょう。
「姉は女に生まれたことを恨んでいて、肉親であり男である私に対して妬みの感情も抱いていました。そういう愛憎があったからでしょうか、私が経済的な援助を申し出たら、断られてしまいました。月並みな言葉ですけど、人の幸せはお金じゃないんだとも思い知らされました。大好きだった姉の死で、自分も精神的に潰れそうになりましたけど、心理学に出会って救われました」
――なぜ心理学を学ぼうと思ったのですか?
「姉を一変させて、命を奪った『うつ』って治せるのかな、と知りたくなったのがきっかけです。様々なセミナーに参加して心理学を学びましたが、特にユング分析が印象的でした。ペルソナ(仮面)って考え方が有名ですよね。つまり、人は社会的な仮面をかぶっている時間とかぶっていない素の時間のバランスが大切なんです。現代社会の多くの人は『仮面』をかぶった時間が長すぎるのではないでしょうか。『会社員』も仮面だし『父親』も仮面かもしれません。心理学に触れたことで、自分の場合は『男らしく』という仮面をかぶっていたことが精神的に最も大きな負担となっていたことに気づきました。そこで私はこれまで人生で一度もしたことのなかった『女装』をするんです」
初めての女装は33歳の頃
――失礼ながらかなり突飛な発想に感じます。
「そんなに変なことではないんですよ。カウンセラーの先輩による先例もあったんです。“男らしさ”の対極にある女装は、私にとっては自分を見つめ直すとてもよい機会になると考えました。そこで大阪の女装サロンに行きました。それまで女装について、興味を持ったことも無ければ、経験ももちろんありません。しかし、化粧をしてもらいワンピースを着た自分の姿は本当に美しく感じたんです。女装前にダイエットもしました」
――「男らしさ」という仮面を外した瞬間ですね。
「初めての女装は33歳の頃でした。それまでとはまったく異なる自分の性欲にすごく興味が湧いて、次々と男性と寝ました。女装する男性と関係を持ちたい男性というのも世の中には一定数いまして、そういった方も女装サロンには集まります。主に大阪の新世界で相手を探していましたね。解放された私の性欲はものすごかったです(笑)。当初は男性とだけの性行為にのめり込んでいましたが、時間が経つと女性ともできるようになりました。男性とのセックスで身につけましたが、男の“メスいき”って本当にすごいんですよ。快感が持続しますから。経験しないで死ぬのは本当にもったいないですよ(笑)」
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