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「30代で気づいたことを2人に伝えたかった」

 7月で41歳になる藤田。19年間のプロ生活で「30代で気づいたことを2人に伝えたかった。シーズン中ではなかなかできないので」と自主トレでは自身が経験してきたことをたくさん話してきた。

 プロに入ってくる選手は「みんな身体能力がある程度高い」ため、能力だけでプレーしている選手が多いという。実際にファームでDeNAの若手のプレーを見ていても「変な力が入ってるなあ」と感じることも数多くあるといい、「僕が30歳を過ぎてから『無駄な力を入れない』とか、『無駄な動きを省く』ことを意識したことで打撃も守備もうまくなったと思う。それを20代とかまだ若い時に、『もっと早く理解していたら』と思うと彼らの(技術が上達する)近道になると思ったんです。それで剛にもコブちゃんにも話しましたね」と極意を伝授した背景を振り返る。

 まだプロになって数年しかたっていない後輩たちからすれば、大きな成長のヒントを与えてくれた師匠の存在は大きかったに違いない。

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 山崎が「藤田さんは準備の姿勢がすごかった。練習に行くまでにすごく準備をしていた。僕も早めにグラウンドに行って体を動かしていますね。その日の100%を出すために」と話せば、小深田も「『一発目のプレーが大事だぞ』と言われています。それはチームでも言われていることなのでしっかりと準備をして試合に臨みたいです」と声をそろえた。

 電話の最後に藤田に今後、小深田と山崎に「どんな選手になってほしいか」と聞いてみると、「将来的には143試合に出場して内野で野手陣を引っ張っていける選手になってほしいね」と返ってきた。

 藤田が残した“DNA”は確かに受け継がれた。2つの種は着実に芽を出し、花を咲かせようとしている。

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