立派になった娘も、強くなったオリックスも、応援し続けていたい
そうして、少ししんみりとした思いで、テレビのスイッチを入れる。時間は既に21時過ぎ、オリックスは当然の様に勝っており、リーグでも首位を走っている。少し前までは、いつもやきもき、ハラハラしながら見ていたものだけど、今では安心して見守れる試合が増えている。昔は沢山あった凡ミスも減って、スタンドや自宅で頭を抱える事も少なくなった。一言で言えば、落ち着いている。そうか、うちの子と同じで、オリックスも大人になったんだな。だとすると、もう俺が声を張り上げて応援する必要もなくなったんかな。
そしてもう一度考える。いや、違う。「俺が応援しないとこのチームはダメだ」なんて言いうのは、ファンの側の勝手な思い込みだし、時には仕事をさぼって球場に足を運ぶ為の下手な言い訳だ。ファンはチームが弱い時にだって一生懸命応援して来た筈だし、それがファンっていうものだ。
だから少し逆説的になるけど、チームが強くなったのは、「俺達が応援したから」じゃない。それは何よりもまず、選手やスタッフ、そして球団関係者が色々工夫して、努力した結果である。だからこそ、まずは努力して成功した彼等を褒めたたえるべきだし、それで十分な筈だ。それを「ファンの功績だ」などというのは、おこがましい限りだ、と思う。
そもそも「俺が応援しないとダメ」だから応援する、なんていうのも、本当は自分に嘘をついている。俺たちが応援するのは、誰かに言われたからじゃないし、何かしらの義務があってしているんじゃない。応援は、応援したいからするんであって、それ以上でも以下でもない。そう、やりたいからやってるだけなんだ。
だとすると、子供たちもオリックスも、どんなに立派になって強くなっても、応援すればいいだけだ。「ウザい」と思われるかもしれないけど、それもある程度は仕方がない。だって、熱心なファンというのは、時に当たり前に「ウザい」存在だもん。
さて、ヒーローインタビューだけ見たら、自分の部屋でちょっとゆっくりしよう。そして、寝る前にもう一度このリビングに戻ってきた時に、まだ寝たままだったら、流石に、その時はウザがられても、起こしてあげることにしようかな。
◆ ◆ ◆
※「文春野球コラム ペナントレース2023」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/63017 でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。