まずは言わずもがなのおさらいから。昨季のセ・パ交流戦、北海道日本ハムファイターズは阪神タイガースと甲子園で戦い、3連敗。「阪神」の2位に一役買う結果となってしまいました。ファイターズは6カード目の対中日戦で3連勝したものの、最終結果は8勝10敗.444でギリギリ中位と言ってあげられる8位。勝ち越せた相手は中日と巨人だけにとどまりました。いっぽう「阪神」はオリックスにも3連勝し、3連敗は一度も無し。「交流戦優勝球団」となった14勝4敗の東京ヤクルトも「阪神」と同じように3連勝2回の全カード勝ち越しなのでした。

 そんなことから先頭集団を狙う際の3連敗せずは、絶対条件。拮抗すれば、勝率6割台の11~12勝が優勝ラインになるはずです。18試合制になった2015年以降、7敗して優勝した球団はありません。

 優勝賞金3000万円(全108試合)ぐらいで何を騒いでいるのかと思われるかもしれません。しかし新庄剛志監督自らすでに賞金を裏方さんたちに配ることを公言しています。リーグ戦での7~8ゲーム差を一挙に縮められるばかりかチームの士気も高まり……と願望シナリオを描けるのがセ・パ交流戦なのです。

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新庄監督 ©時事通信社

やりくり算段の新庄ファイターズ

 今のところファイターズの交流戦での優勝・最高勝率歴は、トレイ・ヒルマン監督の最終シーズン、2007年の1度きり。ライアン・グリン投手がMVPに選ばれました。福岡ソフトバンクの8回優勝は異次元モードですが、優勝2回の巨、オリ、ロ、ヤの4球団に1回だけのファイターズが続き、エヘヘ、「阪神」、中日、広島東洋、横浜DeNA、埼玉西武、東北楽天の6球団は、2005年以来17回を数える交流戦での優勝歴がありません。今が19回目じゃないのは、新型コロナの影響で2020年シーズン途中の開催が中止になったからです。ファイターズの場合は、2015年までに2位と3位を各2回達成。しかし栗山英樹政権(2012~2021)の後期以降は、9→5→7→10位と下位か中位に終わっています。

 てなところが一応のおさらいだったわけですが、JPBPA(日本プロ野球選手会)が発表した平均年俸ランキングでファイターズは、2年連続、堂々の最下位です。4年前までの「阪神」は年俸順位の銅メダル常連だったのですが、2年前の令和3年度はとうとう11位にまで降下。その後少し持ち直して、9→7位で推移しています。選手会に未加入の外国人選手は含まれない総額ですが、ファイターズは1、2位の常連である巨人、ソフトバンクの半分にも満たない2569万円という平均年俸なのです。中央値こそ1500万円で7位ですが、ここでも1800万円で4位の「阪神」に及びません。要するに言いたいのは、低予算で育成選手扱いがソ、巨のように多くないのに頑張っている。それが、やりくり算段の新庄ファイターズということなんです。

 一方の「阪神」はその名称からしてなんだかずるいじゃありませんか。 サッカーJリーグの60クラブがボロは着てても心は錦精神で地域名を貫くのに対して、会社の名前があらかじめ大阪と神戸を連想させる電鉄会社の地域密着って何よ、と言いたくなります。それに比べて我が方は、大根役者という意味もあるham。「〈日本大根役者戦闘団〉ってなんや」といわれそうで怖いです。そういえば、球場更衣室のロッカーが給料の多い人順に並んでいてびっくりしたと、「阪神」に移籍した某日ハムOBに聞かされたことがあります。1975年頃の話で古過ぎるけど。あと特筆すべきなのは吉田・牛若丸・義男元監督(89)が、トゥルシエより先に野球のフランス代表監督になったことでしょうか。