気象予報士の田中美都です。このところ曇りや雨の日が多くて、どんよりした日が続いていますね。6月も半ばになって、沖縄から東北にかけて梅雨入りの発表があり、本格的な雨のシーズンとなっています。洗濯物が外干しできなかったり、髪の毛は湿気でうねりにうねったり。週間予報で曇りマークや雨マークが並ぶと、ちょっと気持ちもどんよりとしてしまいます。
しかも、関東在住の私はビジター観戦が多く、ZOZOマリンや楽天モバイルパークで降られることもしばしば。5月28日には仙台で現地観戦をしていましたが、雨が降る中での延長12回サヨナラ負け……「うぅ」という声にならない声が出て、雨じゃなかったら、雨じゃなかったら、なんで雨なんて降るんだろう、という気象予報士らしからぬ発言を繰り返しながら帰りの新幹線に乗ったのも、今はいい思い出です。
一方で、我らがファイターズの本拠地、北海道には梅雨がありません。全国的にすっきりしない天気が続く中、6月の北海道は他の県と比べて、青空の広がる時間が長くなります。
「晴れが多い都道府県」と聞くと、皆さんはどこを思い浮かべるでしょうか。よく言われるのは岡山県。県としても「晴れの国おかやま」としてプロモーションをしているし、岡山出身の上川畑選手の応援歌も、「晴れたる吉備の国から~♪ 心熱く踏み出~し♪」という「晴れ」というフレーズで始まりますよね。岡山は北に中国山地、そして南には四国山地があって、高い山に囲まれています。南から雨雲が来ても、北から雨雲が来ても、山々が雨雲をブロックしてくれて、晴れることが多いといわれています。
ただ、6月に限定してみるとどうでしょうか。47都道府県、県庁所在地の「6月の日照時間(平年)」を調べてみると、北海道(札幌)はなんと堂々の第1位。そもそもこの時期は、北の地域ほど昼の時間は長くはなるんですが、他の県と比べると、やっぱり青空の広がる時間が長いと言えそうです。しかも、まだ南からの湿った空気の影響を受けない時期なので、空気が乾いていて爽やかな晴れなんだろうな。エスコンフィールドの外にある芝生に寝っ転がるには、最高の季節かもしれません。そして、ここ最近、その北海道のカラッとした気候のように、バットが全く湿気っていない、快音を聞かせてくれる選手がいる。加藤豪将選手のバットが止まりません。
加藤選手の入団で空気がゆっくり動く気がした
私は加藤選手の出場を心待ちにしていました。まず、心を掴まれたのは去年の入団会見。話し方と声のトーンが落ち着いていたので、第一印象はクールな選手かなと思いました。でもしっかり話を聞いてみると、語る内容はとっても熱い!
「エスコンフィールドという世界一の球場で、日本一ではなく世界一になりたい」と力強く語っていて、若い選手が多いファイターズだけど、熱くて頼もしい選手が入ってくれたと嬉しくなりました。かと思ったら、ユーモアもたっぷり。新庄監督に「どこ守りたい?」と急に聞かれ、戸惑いながらも「じゃあ、あの、4番キャッチャーで」とジョークも言える。会見会場も笑いに包まれていましたが、私も会見を見ながらニヤっとしてしまいました。
昨シーズンは、リーグ最下位をただひたすら走り続けていたファイターズ。59勝81敗と大きく負け越していて、なんだか重い空気も漂っていたけど、加藤選手の入団で空気がゆっくり動く気がした。
ただ、開幕を控えた3月。オープン戦の最中に右腹斜筋肉離れと診断されて、ゲーム復帰まで約8週間と戦線離脱を余儀なくされた。残念だったし悲しかったけど、選手はそれ以上にとても辛い。ファンはとにかく待つしかない。私は、復帰したあとすぐに歌えるように、加藤選手の応援歌を完璧に覚えて待っていた。