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「宝石を見せびらかす女はあさましい」ココ・シャネルが贈られたエメラルドを海に投げ捨て、イミテーション・ジュエリーを作ったワケ

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル

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ジュエリーをバラバラにして「偽物」とミックス

イミテーション・ジュエリー(ビジュー・ファンテジー)の発想が湧きあがる。贈られたネックレスをバラバラにして、オリジナルな「偽物」とミックス。

新たなファッション・アイテムを誕生させたのだ。

偉大なるジュエリーへのオマージュとも言える、クリエイティビティ溢れる創作。大胆な発想でリメイクされたネックレスは斬新で、シャネルはまたまた素敵な「発明」を世に打ち出すことになる。

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自分がつくる偽物は、本物よりもずっときれいだ。と誇らしげに言う。勝利宣言にも思えてならない。オリジナリティ溢れるイミテーション・ジュエリーはオリジナルな創作品なのだから、高価な商品として人気を博した。

その後、恋愛関係となったイギリスのウエストミンスター公爵から贈られた数々の宝石もアレンジしてしまったという。

恋人に贈られたエメラルドを海に投げ捨てた

ジュエリーは、自分を金持ちに見せるためにつくられているのではなく、着飾った雰囲気を出すためよ。

緑が美しいエメラルドは憧れの宝石だ。

これをイギリスの長者番付ナンバー・スリーに数えられる富豪、ウエストミンスター公爵から贈られたとき、彼の所有するカティ・サーク号の船上にいたシャネル。月夜にかざしてみたエメラルドはたいそう美しかったという。

シャネルはその宝石を、贈り主の想いなどお構いなしに海に投げ込んだというのだ。

とにかく、人を魅了する宝石を忌み嫌ったシャネル。高価なものだから、と自慢するためにギラギラと着けて見せつけることも嫌悪した。

映えるアクセサリーで着飾るときは本物の宝石など無用。洗練され斬新なアクセサリーとは。偽物の宝石でつくったネックレスに、そういった思いを込めて、世に打ち出したシャネル。

彼女のメッセージが込められたイミテーション・ジュエリーは、その意味を放って輝いていたことだろう。

時折、本物のパールを身に着けるいたずらも

わたしが着けると本物も偽物に見える。