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介護費用の平均額は約580万円! 少しでもお金の負担を減らしたい人が「知っておくべき3つの制度」《ファイナンシャルプランナーが解説》

『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』より #2

2023/07/02
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知っておきたい、お金の負担が軽減される3つの制度

 介護にあたって知っておきたい制度は3つあります。「高額療養費」「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。「高額療養費」とは、医療費がたくさんかかった場合、一定額を超えた分が健康保険から還付される制度です。例えば、70歳以上・年収370万円未満の人は外来では1万8000円(年間上限14.4万円)、入院では5万7600円が1カ月の負担の上限で、医療機関の窓口でそれを超える額を支払った場合、超えた分が還付されます。食事代や差額ベッド代などは自己負担になります。

 例えば、入院をして手術を受けたとします。医療費が100万円かかっても、高齢者医療の場合は保険者が計算して還付してくれます。医療費は1カ月の上限額5万7600円(一般の場合)の範囲内で済むのです。

 1カ月は各月の1日から末日までを指します。8月21日に入院して9月20日に退院するなど、月をまたぐ場合は、8月、9月、それぞれ上限額を負担することになりますが、それでも医療費をかなり抑えることができます。

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写真はイメージです ©iStock.com

高齢者以外も利用できる「高額療養費」

「高額療養費」は高齢者だけでなく、健康保険に加入している人なら誰でも利用できます。70歳未満の人は高齢者とは自己負担額の上限が異なります。

 還付を受けるためには、健康保険の窓口(国民健康保険では市区町村の窓口)で手続きをする必要がありますが、入院の場合や同一医療機関での外来の場合は、医療機関に「限度額適用認定証」を提出しておけば、請求されるのは上限額までで済みます。いったん立て替える必要がないといったメリットがありますので、事前に健康保険の窓口で発行してもらいましょう。また、マイナンバーカードが利用できる医療機関であれば、「限度額適用認定証」がなくても限度額を超える支払いはありません。

介護保険のサービス利用料は上限額が設定されている

「高額介護サービス費」は、介護保険のサービス利用料について1カ月あたりの上限額が設定されていて、上限を超えた分が払い戻されるという制度です。上限額は同じ世帯の人の収入によって異なります。例えば夫婦2人暮らしで2人とも住民税が非課税なら1カ月の上限は2万4600円。サービスを受けているのが夫だけでも、2人ともサービスを受けていても、2人(世帯)で2万4600円が上限です。夫が2万円、妻が1万円のサービスを受けていたら、5400円が払い戻されます。

 1カ月の上限を超えているかどうかは市区町村で計算して、確認をしているので、払い戻しを受けられる人にはお知らせが届きます。