同一世帯で介護保険・医療保険を利用していたら“合算療養費制度”が使える
高齢になれば、夫は病気で医療費がかかり、妻は介護費がかかるということもあります。世帯単位で見ると負担が大きくなりますが、同一世帯(ひとつの世帯)に介護保険を利用している人と、医療保険を利用している人がいる場合、1年間に自己負担した合計額が一定額を超えると、超えた分が戻ってきます。これが「高額医療・高額介護合算療養費制度」で、毎年8月1日~翌年7月31日の1年間で計算されます。
同一世帯とは、医療保険の加入制度が同じ世帯のことを言います。夫が「後期高齢者医療制度」、妻が「国民健康保険制度」に加入している場合は、別々の医療保険なので、合算はできません。
還付を受けるためには市区町村の介護保険窓口に申請する必要があります。一般的には、市区町村の介護保険課から通知が来て、それに必要事項を記入して返信する方法が取られています。
医療費が年間10万円を超えたら「医療費控除」
1年間(1月1日から12月31日)にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合、所得税が軽減される「医療費控除」が受けられます。控除を受けるためには確定申告をする必要があります。
介護離職は絶対にNG
高齢社会白書(令和4年版)によると、75歳以上になると要介護認定割合が約32%と大きくなります。誰が介護をしているかは配偶者約24%、同居の子・子の配偶者約28%です。厚生労働省の雇用動向調査によると2020年に介護離職をした人は約7.1万人でした。男性は約1.8万人、女性は約5.3万人と女性のほうが多くなっています。性別・年代別に「介護・看護離職」の割合をみると、男性は「65歳以上」、女性は「55~59歳」で最も高くなっています。
50代にさしかかると、会社内での「着地点」も見えてきます。これ以上、出世する見込みがないのであれば、「60歳の定年退職時まで会社に居続けなくてもいい」と、離職に踏み切ってしまうケースもあるのですが、退職後も働き続ける場所、つまり再就職先が見つかっていないと、子ども自身が老後破綻に陥る可能性が高くなってしまいます。親を看取ってから40年、人によっては50年ぐらい自分の長い老後が待っています。
中高年の再就職は困難で、コロナ禍の今、サービス業などでは急に人手が足りなくなったと思ったら、感染者の急増とともにお客さんが激減して、人手が余るというように、不安定な状況が続いています。業種によっては労働力の需給バランスが安定せず、思うように仕事が見つからないこともあります。
60歳で定年退職を迎えてから再雇用で65歳まで働き続けたほうが、子どもの老後破綻のリスクは回避できます。