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 戦車の分類については、最近はさらに改修されているので、余計にややこしくなっていますね。砲手用の窓とかの形状でどういう改修がされたのかというのがわかるので、そういったところを焦点に当てて分析しています。

巧妙なAI生成フェイク画像の対応策は…

――よく使うOSINTツールはありますか?

ミッツァー これといったツールはありません。先ほど言いましたように、趣味であれば、いくらでもインターネットから情報を取る方法はあるので、そういったものは必要ないと思います。ただ、我々としてはもうちょっと衛星からの画像を入手したいんですけど、趣味なので資金的にそういう情報は手に入りません。

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――今注目しているOSINTソースはありますか?

ミッツァー ベリングキャットの情報は必ずチェックしています。ニューヨークタイムズもOSINTの記事を載せていますので、そちらの方も拝見しています。

――戦争が始まってからの短期間でAI生成画像が飛躍的に進歩しましたが、巧妙なAI生成フェイク画像が出てきた場合、Oryxの活動に支障が出るのではないでしょうか?

ミッツァー 今現在はそれほどAIの問題はないですけど、そういった問題には2014年のクリミア危機などから得た写真とかを見て、これがいつ撮られたのかを分析します。ウクライナ戦争の初期、ロシアが昔の写真を使ってウクライナの車両を撃破したとか、そういうフェイクニュースが流れました。

 しかし、我々は古い情報も持っていたので、照合することで車両はロシアのもので、マーキングをウクライナのものに変えただけだと分析していました。ただ、おっしゃる通り、今後もそれができるかというと、AIが発達してやりにくくなるでしょう。ただ、そうなる頃には、私はもう趣味を捨てている可能性が高いので問題ありません(笑)。

 将来的にはAIにリスト作成を任せることができると思いますけど、それと同時にAIによるフェイク画像や動画が出てくるんではないかと思います。

ウクライナの越境攻撃を撃退したとロシア側が主張したが、ウクライナが保有していない車両のためロシアの偽装工作と断定された(OryxのTwitterより)

――将来的にAIがリストを作ってくれるとおっしゃいましたね。OSINTをやっている中で、そういう技術的兆候というか、新しい技術の情報も入手しているのでしょうか?

ミッツァー いいえ。ただ、実際に様々な情報機関が情報をAIから得ていますけども、そのAIの情報はOryxの情報をもとにしているので、「AIは我々なんだ」と言っています(笑)。