2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻。21世紀のヨーロッパで始まった戦争では、住民や兵士らによってネット上に大量の情報が投稿されている。そうした公開情報を収集して戦場の実相を明らかにする活動、オープンソース・インテリジェンス(OSINT)が民間人の間で盛んに行われ、戦争報道や研究に大きな影響を及ぼしている。

 中でも、撃破された兵器の写真や動画をカウントし、ロシア・ウクライナ両軍の損耗兵器をリスト化しているオランダの軍事情報サイトOryxに世界的な注目が集まっている。Oryxが作成した損耗リストは、ロシア軍の多大な損害を物証付きで明らかにしており、CNN、BBC、NHKといった世界中のメディア、さらにはイギリス国防省でも信用できる情報源として引用されている。現在、Twitterのフォロワーは約43万人だ。

ロシア軍の損害をカウントするOryxのページ(Oryxサイトより)

 そのOryxの創設者、シュテイン・ミッツァー氏が来日。都内某所で世界初のロングインタビューに応じた。Oryxとは何か、OSINT活動の実際、ウクライナ戦争、北朝鮮、そして日本……。オープンソースが明かす世界について語ってくれた。

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Oryxの9割以上を担う

――Oryxに関する情報が限られているため、基本的な質問で申し訳ないのですが、創設者はミッツァーさんという理解でいいですか?

ミッツァー そうですね、私がそうなると思います。9割以上は私が担っているでしょうか。ウェブサイト内にある記事はすべて私が書いているようなものです。

Oryxの創設者、シュテイン・ミッツァー氏 ©石動竜仁

――日本のNHKに別の方がOryxメンバーとして出演していたのですが、その方とは別という理解でいいですか?

ミッツァー 彼にはウクライナ戦争の損耗リストに関わってもらっていますが、それ以外のことに関してはノータッチという形です。ただ、彼は顔出しに問題がないので、メディアから何かあると対応してもらっています。

 損耗リストの方で色々やってもらっていますので、Oryxの中でも重要なポストであるというのは確かです。