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「戦争から利益を得ることはしたくない」Oryx創設者が語るウクライナでの“OSINT最前線”《世界初インタビュー》

Oryx創設者シュテイン・ミッツァー氏インタビュー #1

2023/05/25

genre : ライフ, 社会, 国際

note

 北朝鮮については、しっかりと評価・分析している国がなかなかなかったのと、情報すら手に入れるのが難しかったことから、自分にとって良いチャレンジになるんじゃないかと思い、チャレンジ精神でやりました。

 自分にしてみれば、一つの国に関して短い間にどれだけ学べて、どれだけ分析できるかというのがチャレンジで、だいたいできたら次の国に移る感じですね。他の人は一つの国を何年もかけて調査・分析しますけど、私にそれはできません。

収入はすべて戦災孤児救済などに寄付

――では北朝鮮はこれで一段落ついているとお考えですか?

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ミッツァー 私としてはもうほぼ終わっているんですけども、一緒にやっている人たちはまだちょっとやりたいところがあるみたいです。皆さんも仕事の合間を縫って自由時間でやっていますので、私自身ももし結婚するようなことがあれば、そこでOryxにピリオドを打つ感じで終わると思います。

――完全に趣味なのですね。

ミッツァー 活動する中で、仕事のオファーも入ってくるんですけども、その内容が良くないとか、戦争から利益を得ているような感じで、自分の良心が痛んでできない部分もあります。OryxのPatreon(アーティスト支援サイト)のアカウントもありますが、その収入はすべて戦災孤児救済といったものに寄付しています。

 寄付をするにもルールがありまして、戦争そのものを支援する寄付、例えばウクライナにドローンを送るための資金を募っているようなものとか、そういうものには一切寄付をしません。戦災孤児や難民救済についての寄付を優先しています。 

 すべての紛争等に対して、我々は中立を貫きます。ただ、Oryxの中にもそれに対して意見はありますけど、Oryxの仕事をしている時はすべて中立でやらせてもらっています。サイトに載せている記事もすべて中立を守るように書かれています。自分個人の意見とか、そういうのが入らないようチェックをしています。損耗リストとかをアップする時に、書いている人の感情や意見が入らないように気をつけています。また、そういうものが見てとれた場合には、その人はその時点で、もうOryxとは何の関係もない扱いになります。