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「我々は趣味。仕事で嫌々やっている人とは違う」ロシア軍の損害をカウントする“民間人の強み”とは

Oryx創設者シュテイン・ミッツァー氏インタビュー #2

2023/05/25

genre : ライフ, 社会, 国際

note

間違いが起きたときはすぐに訂正し、新しい情報と入れ替え

――情報の新旧はどう判断されているのですか?

ミッツァー 今まで書かれたことに照らし合わせて、重複しているところがなければ新しいと見なし、重複している点があれば、古いものとみなします。信憑性が高いものについては、そのまま使うこともあります。ただ、簡単に最新と認められるものもあれば、どうしてもすぐにこれが最新なのか古いのかわからない情報があるのも確かです。このリストを作って維持するのがどれだけ難しいか、皆さん「分かる」とは言うんですけども、本当に分かっている人間は少ないと思います。

 支援して手伝ってくれる人たちがいることは本当に感謝しています。私自身も趣味として始めていたものが、今ではもう趣味の範囲を超えてしまっているところがあり、その超えた部分を他の人が担ってくれるのは本当に感謝しています。

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――私も撃破された車両写真をSNSでチェックしていたことがありますが、同じ車両でも他の時間に撮影されたり、撮影された角度が違っているので重複の判断が難しいものがあります。そういったものはどう判別されていますか?

ミッツァー サイトに載せていない写真も数多くアーカイブに入っていて、それに照らし合わせています。例えば、誰かがツイッターで写真を上げたとします。ですけども、実は我々の手元にはそれの動画があり、最新なのか古いのかを判別しています。ただ、どうしても間違いは起きます。ですので、間違いが起きたと認識すれば、すぐに訂正してその情報を新しいものと入れ替えます。

 我々の仲間には損耗リストを作る以外にも、我々の作ったものから重複を探すのを趣味にしている人たちがいるので、彼らのおかげで重複をすぐに発見できるようになりました。 自分たちの時間を使って、我々に情報提供してくれる人たちに本当に感謝しています。

2014年にドネツク州でウクライナ軍に鹵獲されたT-64BV。現在の戦争でOryxが把握しているだけで7種の派生型の破壊が確認されている ©石動竜仁

趣味で書かれた記事は生き生きしている

――ロシア軍の戦車にはT-72B、T-72BA、T-72B3……といった具合に似たようなサブタイプが多数あって、破壊されているとなおさら区別がつきませんが、Oryxの損耗リストではきちんと分類されています。ロシア戦車に対する知識は、戦争以前からお持ちだったのでしょうか?

ミッツァー 趣味なので、実は戦前から基礎的な知識は持っていました。我々はこれを趣味でやっているので、のめり込みやすいんです。今も例えば、チリとかペルーが紛争を起こした場合、彼らについての情報も基礎程度なら持っています。ただ、やはり趣味ですので、その範囲内で知識を持って、他の人たちと共有しながら支え合っています。また、分からないところはその分調べるという考え方が強いので、いろいろやっています。

 これが仕事ですと嫌々やっているので、なかなか進まないと思います。趣味としてやっている人たちが書いた記事は、本当に生き生きしています。

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