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 余談だが、韓国ではコンビニ間の競争商品としてスターやアニメ作品とのコラボ商品がたびたび登場する。漫画『クレヨンしんちゃん』は90年代から韓国でも人気が衰えず、弁当や菓子などとコラボしており、業界3番手のセブン-イレブンでは、5月6日からサンリオとのコラボでキティちゃんキャンディやサンリオキャラクターの手提げバッグなどの販売を新規に始めた。

 Z世代と観光客の街、弘益大付近のセブン-イレブンに行くと、キティちゃんキャンディの隣にはクレヨンしんちゃんが並んでいた。話を聞くと、「どちらもすごく売れている。この間はベトナムからの観光客が大量に買っていって、手提げバッグなんかは20個購入していきましたよ」と店主は話していた。

韓国のコンビニエンスストア最大手「GS25」で販売されているパン(筆者提供)
弘益大付近のセブン-イレブンで売られていたハローキティグッズとクレヨンしんちゃんグッズ(筆者提供)

『SLAM DUNK』『すずめの戸締まり』…日本のアニメ映画がヒット続き

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だけではない。今年に入り、日本のアニメーション人気は爆発的なものになっている。

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 1月には『THE FIRST SLAM DUNK』が漫画世代から映画で初めて知ったというZ世代までを巻き込んで今もブームとなっている。数回映画館に足を運ぶ人も多く、こうした人気ぶりに韓国ではアニメーション史上最高の観客を動員するかもしれないといわれたが、3月に公開された新海誠監督の『すずめの戸締まり』があっさりとそれを超えた。

映画館に掲示された『THE FIRST SLAM DUNK』のポスター(筆者提供)

 韓国での新海監督人気は絶大だ。2017年に公開された『君の名は。』も363万人の観客を動員し、日本映画でダントツの記録を持っていたが『すずめの戸締まり』はそれを大きく超えた。公開からわずか2カ月で500万人を超え、韓国スターが出演した韓国映画を大きく引き離し、今年公開された映画でトップの興行成績を収めている。

 筆者も『すずめの戸締まり』が公開されてすぐに劇場で観たが、実は韓国でこれほど大ヒットするとは思わなかった。同作の観客もZ世代が7割を超えており、東日本大震災をベースに、日本の神話や日本で起きた自然災害を扱った映画が韓国の人の心に響くとは思えなかった。やはり、書き込みを見ると、「すばらしい映像美」や「アニメーションの美しさ」という内容が目立った。

 ところが、中には、「実際の地震の被害者を傷つけることになるかもしれないが、一つ言えることは(起きたことを)そのままに勇気を持って映画に落とし込んだ力を感じる」や「わたしたちにセウォル号の痛みがあるように、彼らが持つ3・11大地震の痛みをこんなふうにほどくなんて。涙が出る」というのもあった。

 自然災害と人的災害の違いはあっても、日韓それぞれが体験した記憶の中にある痛みを、映画を通して想像できるのだなあとあらためてエンタテインメントの力を実感した。