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韓国映画は不振続き

 こうした日本アニメの快進撃に韓国のエンタテインメント専門記者からは、「しばらく眠っていた日本のエンタテインメントの復活ですね」と言われた。そんなことをいうのは同時期に公開された韓国映画が軒並み不振なこともある。

『THE FIRST SLAM DUNK』が公開された2週間後には、ドラマ『愛の不時着』で日本でも人気のヒョンビン主演の映画『交渉』の上映が始まったが、観客動員で約172万人(5月28日)と期待外れの結果に。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』公開と同日(4月26日)にはパク・ソジュン(『梨泰院クラス』)とIU(『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』)の二大スターが共演した『ドリーム』が鳴り物入りで公開されたが、こちらも軍配はマリオへ上がった。『ドリーム』(5月28日)はおよそ111万人の観客数とマリオの半分ほどだ。

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 ちなみに『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』(2022年)は公開から3週間で65万人の観客を動員し、16位となっている。

 前出の記者が言う。

「韓国映画の不振は、最近は劇場にいかなくともNetflixなどの配信サービスで上質の映画が観られるようになったこともあるし、ドラマのほうがよっぽど面白いという声も増えている。映画館は相当な苦戦を強いられてどこも赤字ですが、それを最小限に食い止めてくれているのが日本のアニメですよ」

映画館にある『すずめの戸締まり』『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』のサイネージ(筆者提供)

アサヒスーパードライ生ジョッキ缶、ユニクロも人気

 映画だけではなく、韓国では今年に入り、“日本”があふれている。

 先日テレビを観ていたら、「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」のCMが流れて驚いた。来る7月から韓国で本格的に販売する前に限定発売をしたところ、売り切れが続出したと報じられ、コンビニ店主の「売りたくとも在庫がなくて売れない」と言うコメントが取り上げられていた。ユニクロも以前の売り上げが戻ってきており、韓国のファストファッションでは売り上げ1位になっている。

 こんな現象に韓国メディアは「ノージャパンからイエスジャパンへ」とだじゃれのようなフレーズを使い、Z世代の「日本観」を「歴史と文化はツートラックの別の感情」と報じた。韓国の政権がかわり、膠着していた日韓関係が動き出し、個人の嗜好と消費をひとくくりにしようとした韓国社会の雰囲気が変わったことも大きいだろう。しかし、イエスもノーもなく、いいものはいいし、観たいものは観たいし、面白いものは面白いのだ。

 日本アニメの人気を追い風に実写版にも関心が集まっており、今もっとも注目されているのは小松菜奈主演の『余命10年』(2022年)で、韓国では5月24日から公開が始まっている。

 また、韓国映画では5月31日に公開されるトップスター、マ・ドンソク主演の人気シリーズ『The Roundup:No Way Out(犯罪都市3)』が韓国映画復活への一歩となるかへ期待が集まっている。マ・ドンソク演じる怪物刑事と犯罪組織との闘いを描いたこのシリーズの前作(2022年)はコロナ禍にもかかわらず1千万人の観客数を超える大ヒットとなった。

 シーズン3にはキーマンとなる悪役のひとりとして日本の俳優、青木宗高が出演しており、シリーズファンの間では特別出演している國村隼の話題で持ちきりだ。國村隼は韓国映画『哭声/コクソン』(2016年)で韓国にも根強いファンがいる。