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井上 会社を作るの自体は、必要なお金を払って手続きを踏めば誰でもできる。でも、設立1年目は全く信用もないし、製作委員会を作ろうにも出資してくれる会社があるかはわかりません。AICライツなら実績のある会社だから、そこはクリアできる。M&Aできたことで可能性が広がりました。

 しかも、僕は法律については専門外だから、AICライツで仕事できるおかげですごく助かっています。権利関係は、ルールを理解してないと戦いの場にも立てないですから。契約書の作成の仕方から、権利取得の手法まで、色々なことをアップグレードできたのはありがたいです。

代表就任は別にめでたいことじゃない

──代表取締役に就任した時の周囲の反応はいかがでしたか。

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井上 「おめでとう」と言われることはありましたが、僕自身は特に何も変わらないですよ。変わらず俳優はやるし、やりたいことに向けて模索中。社長になったことで「ゴールに到達したね」と言われることもありますが、全然そんなことはないです。

 まだスタートラインに立っている感覚。いつも「どうすれば趣味ではなく商業として成り立つ作品にできるか」を考えています。仕事として成立させるためのビジネススキームを作りたいですね。

©杉山秀樹/文藝春秋

──特に頭を悩ませるのは金銭面?

井上 やっぱり大変ですよ。舞台なら大体1年半くらいでひとつやれるくらい。小規模の制作会社で運営できますが、『ジサリス』のようなドラマだと3年はかかる。そうなると共同出資が必要です。

──AICライツとの出会いは人生の転機になった?

井上 すごく助かっています。ただ、AICライツも抱えている問題はあるから、それも引き受けなくちゃならないですが。

──例えばどういった問題?

井上 アニメ作品のライセンスをたくさん保有しているから、まずはその管理。無断使用されていれば、きちんと対応しなくてはいけないです。逆に、弊社でライセンスを持っていると思っていたら、過去に在籍していた社員が勝手に売っていたこともありました。

──そんなことがあるんですね……!