「私たち親は送り迎えの際の先生たちの“表の顔”しかわからない。信頼して、預けるしかなかったんです。ただ今となっては、20年も在籍する中で同僚の誰1人として本当に盗撮に気づかなかったのかは怪しいと思っています。そうなると他のスタッフも信用できず、被害者の子供たちはみんな既にスイミングスクールを辞めています。でも辞めたところでネットのデータが消えるわけでもなく、もしかしたら将来ネットで自分の動画を見つけてしまう可能性もある。心に一生の傷を負うことになるでしょう。子供には事件のことなんて言えないし、どうしたらいいかと皆悩んでいます」
JSSの担当者は取材に対し「コメントは差し控える」と濁す一方で、保護者らによればJSSからは『被害者が特定されれば子供が傷つくことになる』と被害を訴えたりメディアの取材に答えないように要請があったという。それもあいまって保護者からJSSへの不信感は募るばかりで、集団訴訟を検討する動きも出ている。
被害女児たちの心の傷を顧みず、「同じ性癖を持つ者同士で仲良くなりたかった」という身勝手な理由で犯行を重ねた吉井容疑者は、プールの外ではどのような評判だったのか。
深夜にラジコンを開封して楽しそうに操縦
近隣住民の女性が語る。
「吉井容疑者は、小さい頃からずっと両親と一緒に実家暮らしですよ。よく赤い車を乗り回していたけど、最近突然見なくなったからどうしたのかと思っていました。少し変わった人で、夜10時ぐらいに家の前でいきなり車のラジコンを開封して、ギーッとうるさい音をたてながら、楽しそうに操縦していたこともあります。『こんな時間にラジコン?』と思ったのを覚えています。吉井容疑者の家の庭から怒鳴り合う声が聞こえることもあり、怖いから関わらないようにしていました」
吉井容疑者が逮捕されたのと同時期に東京都内のスポーツクラブでも水泳コーチの大学生が3歳女児へのわいせつ行為容疑で逮捕されるなど、プールでの性被害は後を絶たない。根本的な対策は可能なのだろうか。