撃つ直前はニヤリと薄ら笑いをしているように見えた
「政憲が散弾銃を持って現れたとき、最初はおもちゃだと思っていました。てっきり犯人を捜しているのかとすら思ったほどです。政憲は私の背後に停車したパトカーに向かってゆっくりと歩いていきました。運転席側に周り込むと、散弾銃を運転席側の窓ガラスに突きつけて威嚇をしました。
その姿を見た近所の方が『逃げろ』と叫び、私は逃げました。パトカーに銃口を突きつけた政憲の目は血走っていて撃つ気満々のように見えました。私が走って10メートル程逃げたところで、パンという銃声がなりました。銃を構えてから10秒後くらいですね。撃つ直前はニヤリと薄ら笑いをしているように見えました」
だが銃声は1発では終わらなかった。近隣住民らも「パン」という音を立て続けに2回聞いている。前出の男性が続ける。
「さらに5、6メートル離れたところでもう一発パンという銃声が響きました。その後、政憲は散弾銃を片手に、何事もなかったように平然とした顔で自宅の方へと歩いて行きました。その後、立てこもりになったようです。撃たれた後、パトカーの運転席にはうなだれているような警察官の姿が見えました」
この男性が心肺蘇生を施した村上幸枝さん(66)、現場に駆け付けた中野警察署警部補の玉井良樹さん(46)、巡査部長の池内卓夫さん(61)は、搬送先の病院で死亡が確認された。また、立てこもりの容疑者が警察に確保された後、ようやく救出された竹内靖子さん(70)も死亡が確認された。
亡くなった4人のうち61歳の警察官の胸を猟銃のようなもので撃って殺害した疑いで逮捕されたのは、“政憲”こと青木政憲容疑者(31)。社会部記者が解説する。
「逮捕された青木政憲容疑者は、中野市議会議長である青木正道氏の長男です。政憲容疑者は26日の午前4時半ごろ、立てこもっていた自宅から出てきて、家の外で確保されました。当初立てこもった住宅には、容疑者の母親と叔母がいましたが確保の前に逃げ出し、保護されていました。容疑者は4丁の散弾銃の所持許可があり、死亡した村上さんとの間に何らかのトラブルがあり、サバイバルナイフで刺したという情報もあり、警察は慎重に調べています」