今月18日に起きた歌舞伎俳優・市川猿之助の“一家心中騒動”。警察による捜査が続いているものの解明されていない謎も多く、収束の気配はまだ見えない。そんな中、自らの名を冠して明治座で公演されていた「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」は代役を立てて再開され、一座の熱演が評判を呼んでいる。

「やはり一番の注目の的は、昼の部『不死鳥よ 波濤を越えて』で急遽主演を務めることになった19歳の市川團子さんでしょう。猿之助さんのいとこの市川中車さん、つまり香川照之さんの息子で、将来的にも猿之助の名跡を継ぐことが既定路線だったスター候補。まだ19歳という若さもあって人気は鰻登りで、昼の部が再開されて2日後の22日にはチケットが最終日まで完売となりました。まさに“フィーバー”です」(舞台関係者)

「團子さんに比べると小さく扱われがちですが…」

 しかし猿之助の代役は“もう1人”いる。夜の部「御贔屓繋馬」で猿之助に代わって主演を担う中村隼人(29)だ。夜の部のチケットも27日までに完売しているが、隼人への世間からの注目は團子に比べるとやや控えめだ。

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市川猿之助の代役で主演を務める中村隼人 本人インスタグラムより

「もともと『御贔屓繋馬』は、千秋楽の1日だけ猿之助さんではなく隼人さんが主演で上演することが予定されていて、隼人さんもそれに向けて練習を積んでいました。なので『大抜擢』というよりは『前倒し』に近い代役でした。スムーズかつ自然な差配ということもあって團子さんに比べると小さく扱われがちですが、隼人さんの果たしている役割もかなりのものですよ」(同前)

市川猿之助(右)は中村隼人にずっと目をかけてきた 本人インスタグラムより

 隼人は1993年生まれで、二代目中村錦之助を父に持つ「萬屋」のホープ。歌舞伎界の家柄としては、市川團十郎らの「成田屋」や猿之助や團子の「澤瀉屋」といった人気一門に比べると新しく、“傍流”とされる。だが、伝統芸能に詳しいライターの九龍ジョーさんによれば、猿之助は隼人に早くから期待をかけてきたのだという。