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元子役・加藤諒が振り返る「仕事なかった時代」

テレビっ子・加藤諒さんインタビュー #2

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いきなり野田秀樹デビュー

―― 高校を卒業して多摩美術大学に進学されますよね。役者として何かを学びに行かれたんですか? 

加藤 そういう意味では、小劇場の授業が楽しかったですね。好きな小劇場作品を選んで見て、演劇レポートを書くっていう課題が出たり。それでヨーロッパ企画とかを見に行ってました。その頃、フジテレビの深夜ドラマで『劇団演技者。』って放送されてたんです。いろんな小劇場のお芝居をテレビドラマとしてリメイクするという。

―― 大根仁さんたちがジャニーズの人たちと組んだ深夜ドラマですね。

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加藤 そうです、そうです。これもすごい面白かったなー。その時の小劇場で話題になってた人たちの作品をやってて、いまや、それを書いた人たちは第一線でやってますからね。この『劇団演技者。』を今またやったらどの劇団の作品をやるんだろうって想像しちゃいますね。ちょっと見てみたーい!

 

―― 子役の方の場合、学業とお仕事、どちらを優先するかで迷うこともあると思うんですけれども、加藤さんはどうでしたか?

加藤 僕は仕事したかったです。したい、したい、したいって言ってたんですけど、事務所が学業優先の方針でした。だから、高校も卒業して、大学もちゃんと4年で卒業しました。もし大学で出席日数不足で留年するのであったらその仕事は断るから、って言ってくれる事務所だったんです。

―― 大学では野田秀樹さんの授業に出られていたそうですが、どんな方でしたか?

加藤 お恥ずかしいんですけど、正直、大学に入って初めて野田さんを知ったんです。それで、野田さんの授業の時にやたらと取材陣みたいなのが来てたりとか、学生が騎馬戦みたいなのを組んで野田さんを「ワッショイ、ワッショイ!」みたいにやってて、「何この人?」「なんでこんな祭り上げられてるの?」って。

―― 本当に祭り上げられてる(笑)。 

加藤 僕が大学入って初めて野田さんの舞台を見にいったのが『パイパー』という宮沢りえさんや松たか子さんが出演されてる舞台で、それを見て「わあ、この人すごい人だったんだ!」って。それで、2年の時に野田さんの授業を取りました。そうしたら、野田さんが「お前普段何やってるの?」と。それで「今、古田新太さんも所属している事務所にいて……」という話をしたら、『ザ・キャラクター』っていう作品に呼んでいただきました。