歌舞伎町最大のぼったくりグループ、Kグループを率いた影野臣直が、ブラックボックスだったぼったくり店のカネの流れを打ち明ける。
「うちは歌舞伎町で5店舗出してたんですけど、従業員やホステスはみんなその日払いです。日当で払う。残った額が店の儲け。1日で15万残るんです。それが5店舗だから1日75万。かける31日としてだいたい毎月2300万円の純利益になりました」
仕事は楽だったと影野はうそぶく。
元来の人なつっこさから、ぼったくると、被害にあった客と一緒に店で酒を飲んだりからかったりして遊んでいた。
「200万取った客とも遊んでましたよ。だから揉めたこともないし、捕まらなかった」
警察とうまくやる方法は…
警察にもカネをまいた。
ポーカーゲーム屋を港区のある繁華街で開業した際には、地元警察署の刑事に毎月20万円渡していた。
「一度、贈賄で捕まりそうになりましたけどね。警察とはうまくやるように、ゴルフは毎月一緒に回ってました。警察のほうから俺のポケベルに連絡が入るんです。“ポケベル鳴らした?”って尋ねると、『あ、そろそろ月末ですね。一杯やりたいですね』って。カネせびる合図なんですよ。
マルボウ(暴力団対策セクション)にもコネクションがあったから。そこから情報が入るんですよ。『いま、韓国クラブなんだけど、ちょっと顔出してくれない? 紹介したいから』っていうんで出向くと、『ちょっと小遣いもらえる?』っていうからその場で3万渡したりね。
家にも電話かかってきて、『急ぎだけど20万貸してくれないか』って。メリットありますよ。少々のことではパクられなかったな。ガサ入れの前には必ず連絡入りますから。『いまから行きますから』って」
交番の警官にも交通取り締まりの警官にも、現金をつかませる。
「最初ビール券渡すんです。現金渡そうとすると警戒されるから。関越道でスピード違反で捕まったとき、ビール券渡して見逃してもらいました。警察ではビール券が金代わりに流通してたんです。本に挟んで渡すとか、ビール券挟んだ週刊誌を置いておくとか」
私も取材中にマントル(マンショントルコ)の待合室で制帽を脱いだ若い警官2名がかしこまって座っているのを目撃したことがあった。2人はそれぞれ店側から封筒を手渡され、礼を述べると去っていった。
店主に尋ねると、意味ありげな微笑を浮かべるだけだ。封筒の中身は感謝状や伝達事項などではなく、ましてやラブレターではないだろう。
影野臣直のKグループは毎夜、ぼったくりを繰り広げ、遂に歌舞伎町一、ということは日本一のぼったくりグループになった。(#2に続く)
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