「セックスシーンって、人物の性格とか本質、2人の関係性を表すすごい重要な場面なんです。でも日本だと、恥ずかしいのかちゃんとそのシーンの演技とか技術についてコメントする人が少ないですよね。女優さんについては『体当たり』とか『大胆』とか言われても、男性俳優の技術や演技については本当に語られないですよね。妻夫木くんなんて最高なのに!」

 高いテンションでそう話してくれたのは、2001年から『王様のブランチ』の映画コメンテーターを務めるLiLiCoさん(52)。自身も多くの映画に出演し、激しいラブシーンを演じたこともあるLiLiCoさんから見て、「男性俳優の本気の魅力が伝わるセックスシーン」とはどんなものなのだろうか。

映画コメンテーターとしても活躍するLiLiCoさん

 そして、セックスシーンが“上手い”俳優たちは誰なのだろうか。

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 私にピッタリの企画をくださって嬉しいです(笑)。セックスシーンは映画の中で重要な場面の1つですが、もともと日本の映画では本格的な描写が少なかったのも確かです。恋人同士のキスなのに口を閉じたままとか、下になった女性が脚を上げているものも少ないですよね。でもそういうリアルじゃない場面を見ると、私は“冷めちゃう”んですよ。

 でもいいシーンを見ると心からムラムラしますよね。今回は、そんな素敵な男性たちを紹介します。

妻夫木聡 『悪人』(2010)

妻夫木聡 ©時事通信社

 1人目はなんといっても妻夫木くんです。日本で一番キスがうまい“kisser”な俳優は彼だと思います。顔が近づいていく時に自然に口が開くし、舌使いも上手い。『ジョゼと虎と魚たち』の頃から彼のキスは別格だと思っていましたが、『悪人』でセックスシーンも日本一だなと確信しました。セックスはキスから始まりますからね。

「悪人」では深津絵里さんとの2度の激しいシーンが 映画予告PVより

セックスってこうだよね」という納得感がすごいです

『悪人』の妻夫木くんは、殺人を犯してしまった青年役。当時の映画賞を総舐めにした映画自体も素晴らしいですが、妻夫木くんが深津絵里さんと愛し合う2つのシーンは日本映画史に残るものだと思います。

 妻夫木くんがデニムとトランクスを同時に脱ぐ焦った感じ、挿入の瞬間の息遣いや、フィニッシュに近づく顔、到達したときの背中の筋肉の痙攣……。どれも『あぁセックスってこうだよね』という納得感がすごいです。腰の動きが一定のリズムな映画も多いんですが、妻夫木くんは不規則で、でもその動きが欲望を感じさせるんですよね。