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 外様が異例の大出世をとげた原動力は、不正に入手したライバル会社の営業秘密にあった――事実であれば、まるでスパイ小説を地で行く筋書きだ。

「持ち出された情報は社内でもアクセスできる人間が限られており、はま寿司の調査で漏洩・流出の経路が判明しています。はま寿司は田辺容疑者らを刑事告訴し、警視庁が2021年6月に関係先を家宅捜索していました。はま寿司の食材の仕入れや原価についての情報を得たかっぱ寿司は、従来の自分たちの仕入れなどと比較していたといいます。不正は企業ぐるみだった可能性もあり、警視庁は法人のカッパ・クリエイトも送検しました」(前出・大手紙社会部記者)

かっぱ寿司を運営する「カッパ・クリエイト」の入居する横浜ランドマークタワー Ⓒ時事通信

 2021年の回転寿司業界の数字を見てみよう。売上高1位・スシロー、2位・くら寿司、3位・はま寿司はいずれも1000億円を超えているが、続く4位のかっぱ寿司は約648億円と水をあけられている。しかも近年のかっぱ寿司は、業界大手一人負けとも言える大幅な赤字が続いていた。外食業界担当の大手紙経済部記者が解説する。

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回転寿司戦争の真っただ中で

「業界1位、2位のスシローとくら寿司は、都心の雑居ビルなどに店舗をオープンさせ、集客数に力を入れています。現在の物価高と円安で仕入れ値が高くなるなどすれば、1皿100円という回転寿司の売りを捨て値上げに踏み切ることも厭いません。一方、3位と4位のはま寿司とかっぱ寿司は郊外型の店舗が多く、車で来店するような家族がメインターゲット。そのため、とにかく安いことを強調せざるをえない。原価率が50%とも言われる薄利の回転寿司で安さにこだわり続けるのは、相当な企業努力が必要となる茨の道です」