31日、「かっぱ寿司」の運営会社「カッパ・クリエイト」の元社長、田辺公己被告に懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の判決がくだった。
田辺被告は2020年、勤めていた「はま寿司」の運営会社から「かっぱ寿司」に転職する際、営業秘密にあたる売り上げや仕入れのデータを持ち出したとして、不正競争防止法違反の罪に問われていた。
田辺被告は動機について、「転職先で部下に舐められたくなかった」「マウントを取りたかった」などと述べていた。
熾烈な回転寿司業界のキーパーソンが起こした“産業スパイ”さながらの事件。田辺被告と回転寿司チェーンの闇に迫った、当時の記事を再公開する。(初出:2022年10月2日。年齢、肩書は当時のまま)
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回転寿司業界の競争は激しい。値段、サービス、立地に質…競合他社を出し抜こうと各社がしのぎを削る中、「かっぱ寿司」は一線を超えてしまった。
警視庁生活経済課は9月30日、かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトの田辺公己社長(46)を不正競争防止法違反(営業秘密領得など)の疑いで逮捕した。田辺容疑者は、「はま寿司」の取締役などを務めた後、2020年にかっぱ寿司に転籍。引き抜きのわずか3カ月後には代表取締役に就任している。上場会社のトップが逮捕された背景を大手紙社会部記者が解説する。
パスワードまで設定されていた機密情報を持ち出し
「田辺容疑者は、はま寿司を辞める直前に、同社の食材の使用量や商品原価、食材の仕入れ先や価格といった営業秘密を持ち出しています。転職したばかりの2020年11月9日ごろにそのデータを共犯者でカッパ社の商品企画部長、大友英昭容疑者(42)と共有。設定されていたパスワードは、はま寿司時代の部下だった湯浅宜孝容疑者(43)から聞き出しています」