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700ヘクタールの使い道(宮崎県都城市)

 おそらく、北海道を除けば全国一広い一団の森林が外資系に買収された事例が、都城市安久町(やすひさちょう)。

用途不明の広大な森林717ヘクタールが買収された宮崎県都城市 図版作成=小林美和子

 その広さ717ヘクタール(東京ドーム約155個分)。スギのまだ若い人工林が2~3割交じった林業的には普通の山だ。一体何に使うのだろう。

「現地はそのままですよ。ここ5年以上何も変わっていない」

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「標高が高くて、見晴らしがいいというわけでもないし……。林業以外に使い道はあるんでしょうか」

 地元林業関係者も首をひねる。700ヘクタールという数字の大きさだけが魅力なのか。それとも何か別の用途でもあるのだろうか。

 もしここを開発してソーラー発電所にしようとしたら、これまで得た林業補助金を返還しなければならない。植林、下刈り、除伐、間伐のときに、支払われた国・県からの林業補助金が何千万円も投入されているからだ。

 そんなことまでしてソーラーにする者はいまい。10年前の買取価格(FIT制度)ならまだしも、当時と比べて4分の1になってしまった今の買取価格でソーラーをはじめる者がいたなら、時代を読み違えている。

 それに現地は平へい坦たんではない。見たところ急峻な箇所がかなり交じっている山だ。しかも幹線道路は一本入っているだけで、路網が整っているわけでもない。開発には不向きだ。

 林業を続けるとしても、今のスギの木はまだ若くて細い。50~60年生の木とするまでは、あと30年もかかるから、結局、寝かせておくしか手はないだろう。

中国系資本による土地の転売が相次ぐ

 私が一つ心配していることがある。

 南西諸島周辺の防衛対応力を高めるために、最新鋭ステルス戦闘機のF35Bが、当地の北東方向40kmの航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県新富町)に24年配備される予定なのだ。

 そんな立地の用途がよくわからない広大な山林が、保有目的も不明なまま中国系資本の所有になっている。当地の転売はつづいていて、14年、15年、21年と所有者は変わっているが、いずれも外資系と見られる法人同士(福岡市)による転売である。

 当該地は宮崎県の水源地保全条例の対象エリア内なので、林地売買に際しては事前届出が必要であるが、事前には、届け出がなされていなかったようだ。