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無人駅を改装“住める駅舎”が山口県に誕生! 列車も間近で見られ利用料は週7000円…「お試し宿泊施設」にした狙いを萩市に聞いた

source : 提携メディア

genre : ライフ,

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山口・萩市が意外な場所に“お試し住宅”を作った。それはなんと現役の駅。JR三見(さんみ)駅の駅舎を改修して「♯さんちゃんち」と名付け、移住生活を体験できる宿泊施設として貸し出しているのだ。

改修前のJR三見駅。老朽化が進んでいたという

JR三見駅は1925年に建設。駅舎は木造平屋建で、地域の人々に親しまれたが、老朽化などからJRが解体を検討。その際に市への無償譲渡の提案があったことから、待合室やプラットホームを除いた場所をリノベーションし、約57平方メートル、1LDKの“住める駅舎”として活用することにしたという。

「♯さんちゃんち」に生まれ変わった姿

玄関を抜けるとリビングと和室があり、キッチン、バスルーム、トイレのほか、家電やネット環境も整備され、くつろげる空間となっている。

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出窓からは列車の往来を見ることもできる

さらに、室内には大きな出窓があるのが特徴。JR三見駅は無人駅だが、列車は往来していて間近で見ることもできる。♯さんちゃんちの利用期間は1週間~最長4週間までで、利用料金は6泊7日で1組7000円(※)とリーズナブルなのもうれしい。※6泊7日以降は、1泊追加ごとに1000円かかる。

駅自体に人の交流機能があると感じた

♯さんちゃんちは2023年4月にオープンし、今は8月まで予約が入っているという。ユニークな試みだが、駅舎をなぜ住める場所にしたのか。どんな生活ができるのだろう。萩市の担当者に聞いた。


――駅舎を♯さんちゃんちとしたのはなぜ?

2021年にJRが駅舎の解体を決め、市が活用するなら無償譲渡するとの話がありました。駅舎がなくなると駅の利用者は不便になるので、検討を進める中、三見地区で計画していたお試し暮らし住宅として活用することにしました。駅自体に人の交流機能があること、100年間使われてきた建物の魅力があることから最適だと考えました。

♯さんちゃんちの間取り(※待合室とプラットホームは駅の機能)

――“住める駅舎”にしたのはどうして?

2019年、市街地にある伝統的建造物群保存地区の古民家を改修して、お試し暮らし住宅「♯梅ちゃんち」として整備したところ、人気もあって利用率の高い状況でした。中山間地域にも、そうした施設の建設を検討していたのですが、そのタイミングで三見駅舎活用の話が舞い込んできた形になります。