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「あれはただ炊いただけですよね」からのスタート…広島“ナゾの土産物コーナー”で起こっている“鉄道と塩作りのドラマ”

中国地方と社会と鉄道#2

2022/12/19

 旅に出たら、その楽しみのひとつがお土産である。ただの楽しい旅行だろうが帰省だろうが、はたまた出張であろうが、いずれにしたってとにかく帰り間際にはお土産を買う。

 だいたいお土産選びのいちばん楽しいときは、自分のためのお土産を選んでいるときに決まっている。そしてついついあれこれ買い込みすぎて、荷物が増えて、あげくにそれをまるごと新幹線の車内に忘れてきたりする。家に帰ってそれに気がついて、慌ててJRさんに電話をしたら、運良く見つかって後日自宅まで送ってくれた……などということもあった。まあ、そういったことも含めて、お土産は旅の楽しみの大きな割合を占めているといっていい。

 そんなわけで、やってきたのは広島である。

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中国地方で最大のターミナル・広島。さぞ色んなお土産があるはず…

中国地方でお土産というと…?

 広島の玄関口・広島駅は、いうまでもなく中国地方で最大のターミナルだ。新幹線はもちろんすべての列車が停まる。駅ビルは目下工事中とはいえ、すでに商業施設の「エキエ」は営業をしていて、お土産を買うならここで、といった具合で新幹線の改札の真向かいでお客を待ち受けてくれている。

 広島のお土産というと、最初にくるのはやはりもみじ饅頭だろう。確かにおいしいしバリエーションも豊富だし、職場などに買っていくには良さそうだ。が、あまりに王道過ぎて、ちょっと芸がない気もする。

 広島といえばカープ、というわけでカープグッズという変化球も悪い手ではない。しかし、そもそも筆者は阪神ファンなのでカープグッズにおカネを出すことはできない。さて、どうしたものか……。

迷いながら歩いていると“ナゾのお土産コーナー”が…

 そう思ってうろうろしていると、エキエの一角にあまり見たことのないお土産品がズラリと並んだ、「てみて市場」なるコーナーがあった。

広島駅を歩いていると見つけた“ナゾのお土産コーナー”。これは…

 ラインナップはというと、これからの時期にはぴったりの合格祈願御札のようなものから、鯛めし、かまぼこ、クッキー、ケーキ、カレー、コラーゲン石鹸、クラフトソルト、と実にさまざま。それぞれまったく違うところで作られた、広島・山口地区の“新みやげ”なのだとか。だからもちろん瀬戸内の地域性が感じられるものばかりである。