「あまり有名ではないかもしれないが、知る人ぞ知る逸品」みたいなものをお土産で買う。なかなか気持ちのいいものだし、この「てみて市場」はそれにまさにぴったりのコーナーだ。はてさて、どれを買って帰ろうか……。
「実は、この『てみて市場』に並んでいる商品、私たちが地域の事業者さんとアドバイザーさんを結びつけて、開発されたものなんですよ」
こう声をかけてくれたのは、JR西日本広島支社地域共生室の安藤拓馬さん。確かにエキエはJR西日本グループの駅ビルだし、お土産品といったら駅や鉄道とは切っても切れない関係にある。とはいえ、JRさんが関わっている新しいお土産とは、いったいどういうことなのか。
意外と知られていない「中四国のお土産になるもの」
「鉄道事業を通して地域共生を一層深めていこうという会社の方針がありまして、その中で広島・山口地区ではどのようなテーマで取り組むか。それを検討したところで、『てみてプロジェクト』を立ち上げました。
“てみて”とは、行ってみて・食べてみてとかの“てみて”なんです。ですから、そういう“てみて”な体験をより多くの人に体験していただいて、地域の活性化にもつなげていきたい。それがプロジェクトの基本的な理念です」(安藤さん)
実はてみてプロジェクト自体は駅構内でのマルシェ開催や駅・商業施設の開発、観光列車の運行やイベント開催など幅広い。安藤さんによれば、「地域の価値を高める取り組みはすべて“てみて”」なのだとか。新しいお土産品の開発は、そうした取り組みの一環として手がけたプロジェクト、というわけだ。
「いろいろ広島や山口のエリア内を回っていますと、まだまだ有名じゃないんだけど良いものって結構いっぱいあるんですよね。それをもっと知ってもらえれば、広島・山口に興味を持ち、訪れてみたいと思ってくれる、そのきっかけになるんじゃないかと思ってスタートしました」(安藤さん)
広島や山口は、山も海も、つまり自然にも恵まれた環境。そこには広く知られてはいない特産品も少なくない。言葉は悪いが、人知れずそうした商品を作っている小さな業者も数知れず存在している。
安藤さんは、自らの足であちこちを訪ね歩き、そうした“隠れた名品”を見つけ出した。それを世に送り出す。ひとことで言えば、これがてみてプロジェクト。広島駅のエキエの一角のてみて市場は、そうして生まれたお土産品を集めて売っているコーナーなのだ。