「子供の写真を見せるとすぐに涙を流し始め、『子育てのお金がないから、仕方なく闇金からお金を借りてしまった』『20万円を今払わないと娘が連れていかれてしまう』と切羽詰まったような怯えた表情で、泣き落としを仕掛けてきました。私が子供好きだと話していたから、そういう戦術をとったのでしょう。結局、子供のことを考えると拒否できなくなっちゃって、『子供のためにちゃんと使えよ!』と毎月1万円ずつの返済を約束し、結局金を貸すことになりました」
支払いの遅れを詫びる手紙が来たことも
だが結局、浅沼容疑者からは1円すら返金されることはなかった。トラブルを避けるためか、返済期日延滞の理由も工夫を凝らしたものだったという。
「携帯を他にも持っていたのか、母親になりすましたLINEアカウントから『娘は病気で入院しているから払えない』とメッセージが来たこともあります。他にもスピード違反で警察に捕まり留置されているから返済できないという言い訳もありましたね」
留置所からメールで連絡するのは怪しまれると思ってか、わざわざ郵送で支払いの遅れを詫びる手紙が来たこともあるという。
〈私は今つかまっていてそこで働いています。いつも助けてくれていたのにこんな形になってすいませんでした。ここを出たら1番に会いたいです。お金も返済します〉
地元・沼津では“債権者”たちに追われる日々
しかし、その後連絡は途絶え、結局行方がわからなくなってしまう。浅沼容疑者の借金エピソードは枚挙に暇がない。沼津だけでも複数の債権者に追われ、“包囲網”が敷かれていたようだ。容疑者に金を貸していた別の知人男性が続ける。
「友達から『浅沼が近所の公園にいる』と連絡をもらって、駆け付けたことがあります。警戒心を解こうと柔らかく話しかけたのですが、『トイレ行ってくる』と言って、そのまま中に閉じこもってしまい……。仕方なくトイレの外で待っていると、ヤンキーみたいな男性が車に乗って現れ、『かんなどこ? 浅沼かんなどこ行った?』と血相を変えて私に聞いてきました。結構ヤバそうな見た目の人だったので、巻き込まれないようにその場を後にしました。多分、彼も浅沼に金を貸していたたくさんの男のひとりだったんじゃないですかね」