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 何度も別れたりよりを戻したりを経てこのままでは一生結婚できないと気づき、ついにきっぱりと決別。理想の結婚を目指すために、美容や資格、フィットネスの努力を重ねてアプリに登録した。

次々につく「いいね!」の中には別の罠が

 20代からの貴重な5年間を不毛な不倫関係に費やしてしまったという焦りで、自分磨きの目標の設定がぐっときびしくなったという。

 しかし、ここであることに気づいて衝撃を受ける。

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「別れた彼は、高級レストランの10万円近いコースでもすっとブラックカードで支払ってくれる人。いつの間にかそういう金銭感覚の相手としか付き合えなくなっていた」

 どんなに好きな相手とでも、毛玉のついた服を着て夕食にコンビニ弁当を食べるような生活は絶対ムリだと思った。住所は港区か世田谷、新宿、渋谷、品川区以外は許せない。

 子供も欲しいし、いい大学にも入れたい。子育て中もエステやフィットネスは欠かせない。

 だからマッチング相手に高級レストランの支払いを求めるのは、相手の経済力や生活力をチェックするための第1次審査だ。それに応じる人しか第2次審査デートに進めないという。

「第2次審査は相手の子供が欲しいか、の見極め。ルックスとか頭脳、才能とか……どうしてもその人の遺伝子が欲しい!と思える人なら」

が、次々につく「いいね!」の中には別の罠があった。

『ど真ん中のタイプ』と関係を持ったが…

 実はアプリ初心者の頃に出会い、本気で好きになった年下のイケメンに、やり逃げされてしまったのだ。彼も「いいね!」1000超えの人気者で、プロフィールにはIT経営者、年収1000万円、未婚、と書かれていた。白シャツが爽やかな坂口健太郎似の41歳で、新宿のレストランで会った時も、「アヤさんとは結婚を前提に考えていきたい。他の男性にはもう会わないでほしい」と情熱的に話していた。

 その真剣さに負けて2次会はバーへ、そしてそのままホテルに宿泊した。セックスもおしゃべりも音楽も相性は最高で朝まで夢のように楽しい時間を味わい、この人こそが運命の人だと実感したという。が、相手はアヤさんと関係を持った後、LINEの連絡もぷつんと途絶え、すぐにアプリを退会して姿をくらましてしまった。セックスだけが目的のヤリモクが運営に訴えられないように、よく使う手だ。

「いつもならそんな失敗はしない慎重派なのに、この時だけは『ど真ん中のタイプ』だったため見誤った。ディナーの料金も請求しなかったし単に遊びたかったんでしょうね」

 その悔しさはいまだに尾を引いている。それ以来、自分も多くの「いいね!」を集めて、マッチング相手を転がすことしか考えられなくなった。