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「年下イケメンにやり逃げされた」“菜々緒系の元モデル美女”(35)がマッチングアプリを3年使っても結婚できない理由

『マッチング・アプリ症候群 婚活沼に棲む人々』より #1

2023/06/15

genre : ライフ, 社会

note

「いいね!」をするのはアプリクイーンの座を守るための集票活動

「相手が自分のためにどこまでしてくれるかを見極めて、それを付き合うかどうかの判断材料にしています。相手が支払う額はその証明っていう感じですね。口先だけでなんとでもごまかせる言葉より、苦労して稼いだお金のほうがよっぽどバロメーターになる」

 理想の結婚のためだった努力が、いつの間にか「いいね!1000」のアプリクイーンを維持することに変わっていた。アプリは一度ついた「いいね!」がずっと保存されるわけではなく、毎月「いいね!」が新しく増えないと目減りしていく仕組みだ。何か呟いたり、写真を追加したり、新しいコミュニティに参加したりして活動しないと、プロフィールが人々の目に触れる機会も減り、「いいね!」はどんどん減っていくことになる。

 そこでアプリ有名人を目指す人々は、毎晩、水面下で自分に「いいね!」をくれそうな、そこそこの男性・女性に足跡や「いいね!」をつけまくり、気がある演出をしている。そうすることで自分の存在を認知させられるし、こんな素敵な人から足跡をつけられた、「いいね!」を送ろうという気持ちにさせられるからだ。

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 アヤさんもこの人なら自分に興味を持つのでは? という男性に足跡をつけたり、時には「いいね!」をして相手のアクションを誘導する。Bさんに「いいね!」を送ったのも、そういう女王の座を守るための集票活動だ。

水面化の熾烈な足搔き合戦にアプリのビギナーは驚愕

 あるマスコミ関係の38歳男性は、毎晩100人近くに足跡をつけるという。

「100人中、10人『いいね!』がくればいいかな……と。自分から『いいね!』をつけるより、向こうからつけてもらったほうがうまくいくことが多い。200超えあたりから、『いいね!』の数だけでも興味を持ってもらえるので、多いに越したことはないですね」

 たかが「いいね!」1つにそんな政治的な意味があったとは。「いいね!」を1000もらってもそれで結婚できるわけでもないし、ポイントや現金に還元できるわけでも、「いいね!」最多賞をもらえるわけでもない。

 すべて自己満足だ。

写真はイメージです ©iStock.com

 アプリのビギナーは、こんな水面化の熾烈な足搔き合戦に驚愕するに違いない。

 アヤさんがBさんに「いいね!」をしたのもそんな演出戦略の一環だった。「いいね!」を限りなく集めることも、マッチング・アプリの沼から出られない依存の麻薬と言えるかもしれない。 だが、いつまでクイーンを続けたら満足できるのか。

「子供を産めるリミットが近づいているので、そろそろ覚悟を決めないと。でもこれまでがんばってきた努力の投資は必ず取り返したい」

 それから3ヶ月。アヤさんはまだ第2次審査を通過する相手に出会えず、毎日山のように来る「いいね!」の数と反比例して結婚は遠のきつつある。

「年下イケメンにやり逃げされた」“菜々緒系の元モデル美女”(35)がマッチングアプリを3年使っても結婚できない理由

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